2011年12月19日月曜日

休憩する暇なく疲弊(朝日新聞「職場のホ・ン・ネ」2011.12.16朝刊13版)

小学校の教師をしています。児童の登校前に学校に行き、帰宅は午後8時ごろ。小さい子どもを預かる責任から常に緊張状態です。給食時間中の15分間、下校直後の30分間は「休憩時間」ですが、給食中は準備や指導、アレルギー症状が出ないかの確認、後片付け、下校後は会議や授業の用意、資料作りなどに追われます。実際に休憩する暇など、あるわけがありません。

疲弊した教師の指導では子どもにも影響がでるのではないでしょうか。少しは休憩できる人員配置をしてほしいです。
(兵庫県 50代女性 教師)

持ち帰り仕事 公務と認める 神戸地裁判決(朝日新聞朝刊 2011.12.16 10版)

病気のため学校で倒れた元小学校教諭が、公務災害と認定しなかった「地方公務員災害補償基金」(本部・東京)の処分を違法とし、取り消しを求めた行政訴訟の判決が15日、神戸地裁であった。自宅に持ち帰った仕事の扱いが争点となったが、矢尾和子裁判長は「持ち帰り作業」も時間外勤務と認め、同基金の処分を取り消した。

原告は、兵庫県尼崎市の元教諭、船越賀代子さん(52)。2004年に学校で容体が急変し、くも膜下血腫と診断された。今も後遺症があるが、同基金は07年に「持ち帰り作業は学校での残業より負担が少ない」として、公務災害と認めない処分をした。

裁判では、同僚らの証言などをもとに、船越さんの夫(54)が発症直前の2カ月間の勤務状況をまとめて提出。矢尾裁判長は、自宅でのテスト採点なども含めて基準を超える週24時間の時間外勤務を認定した。

2011年12月18日日曜日

教育目標の設定「知事権限なし」政府が答弁書(日経新聞2011.12.16 4版)

大阪維新の会が大阪府議会などに提出した知事が教育目標を設定する教育基本条例案について、政府は16日、「教育目標の設定は、地方教育行政法で定められた場合を除き、教育委員会の職務権限に属する」との答弁書を閣議決定した。みんなの党の渡辺喜美代表の質問に対する回答。

地方教育行政法は、教育に関する首長の職務権限を予算の執行や財産の処分などに限定している。教育基本条例案では、府立高校の教育目標について、知事が設定するよう定めているが、答弁書は「地方公共団体の長に、(教育目標設定の)職務権限はない」と指摘した。

文部科学省が答弁書に先立ち、既に条例案の違法性を指摘していたが、大阪市長に就任する橋下徹氏は、「違法性といっても文科省の解釈にすぎない。従う必要はない」と話していた。

35人学級、小2でも実施へ(日経新聞2011.12.17 4版)

35人学級、小2でも実施へ

 政府は17日までに、公立小学校1年生で導入した「35人以下学級」を、2012年度は小2でも実施する方針を固めた。文部科学省が要望していた法改正を伴う制度化は行わず、教職員の追加配置(加配)で対応する。小2でも35人以下学級が実現すれば、小1の進級時にクラス替えをしなくても済むようになる。

 現在の公立小中学校の1クラスの上限人数は小1を除き40人。文科省はきめ細かい指導を行うため、11年度に小1で35人に引き下げ、他学年で順次実施する方針だった。12年度は小2での実施を求めていた。

 35人以下学級の導入は、教職員増を伴うため財務省が強く反対。既に自治体の独自予算などで全国の9割の小学校で35人以下学級が実現していることもあり、未実施の学校に教職員を加配する方式で、財政負担を抑えながら達成することにした。未実施校だけでなく全小学校分の経費負担につながる制度化は、13年度以降に改めて検討する。

Nikkei.com(2011.12.17 23:48)

公募校長7人採用 銀行部長や自衛隊1佐 大阪府教委、来春配属(朝日新聞 2011.12.17 14版)

大阪府教委は16日、海上自衛隊中央システム通信隊司令(1等海佐)の竹本三保さん(55)ら2人を府立学校の校長に、吉本興業債権管理室長の山下善久さん(47)、元松下電池工業常務の黒河満さん(58)、三菱東京UFJ銀行部長の小田村直昌さん(53)ら5人を府内の小学校の校長に採用する、と発表した。

府立学校で35人、小学校で57人が公募に応じ、府教委が書類選考と集団討論、面接で選考した。7人は1月から研修を受け、配属先は来春決まる。

文部科学省によると、民間人校長は2000に制度化された。

asahi.com(2011.12.17)

※1佐とは、旧軍の大佐にあたる。

新任教諭の自殺は「公務災害」静岡地裁が認定(朝日新聞)

新任教諭の自殺は「公務災害」 静岡地裁が認定

 静岡県磐田市の小学校の新任教諭の自殺をめぐり、遺族が、公務災害と認めなかった地方公務員災害補償基金の処分の取り消しを求めた訴訟で、静岡地裁は15日、「公務と自殺には因果関係がある」と述べ、処分を取り消す判決を言い渡した。山崎勉裁判長は「着任以降、公務で強いストレスにさらされ、適切な支援も受けられなかった」と認定した。

 訴えていたのは、2004年に亡くなった木村百合子さん(当時24)の遺族。

 判決によると、木村さんは同年4月、新任教諭として市立小学校の4年生を担任。授業中に暴れてもがいたり、暴力をふるって周囲にけがをさせたりするなど指導が難しい児童の対応に追われた。5月ごろからうつ状態になり、6月には先輩教師から「アルバイトじゃないんだぞ。給料もらっているんだろ。ちゃんと働け」などとなじられた。9月に指導に対する抗議とも取れる手紙を保護者から受け取った翌日、焼身自殺した。

 山崎裁判長は、学級運営が円滑に進まない状況が恒常化していたと指摘。教頭や上司も、会議の議事録に「思い込み激しい。つまらぬプライド強し」などと記載するなど、木村さんの悩みの深刻さを認識せず、学校の支援態勢は「極めて大きな問題だった」と批判した。そのうえで、06年8月に「本人の性格などが原因となって自殺した」として公務外と認定した基金の判断は誤りだったとした。

 遺族は04年12月に同基金県支部に公務災害の認定を請求していた。木村さんの父親の憲二さん(62)は判決後、「やっと一区切りついたなと感じた。(娘は)ずっと全力で突っ走っていたので、お疲れさんと言ってあげたい」と話した。(小林太一)
asahi.com(2011.12.16 0:59)

2011年12月12日月曜日

社内通報訴訟で慰謝料を支払い オリンパス、社員に(日経新聞2011.12.11朝刊14版)

社内のコンプライアンス(法令順守)の窓口に通報したため不当に配置転換されたとしてオリンパスを訴え、東京高裁で勝訴した社員、浜田正晴(51)に、同社が慰謝料や利息など約2600万円を支払っていたことが10日、分かった。

損失隠し問題で支払いに不安を感じた浜田さん側が預金差し押さえを東京地裁に申し立てていた。11月22日に認められ、12月6日に支払われた。

母子家庭65%「教育費不足」 あしなが育英会調査(日経新聞 2011.12.11朝刊 12版)

高校生の子供がいる母子家庭で「教育費が足りない」と感じている母親が昨年より25ポイント増え、65%に上ることが10日、あしなが育英会が行ったアンケート調査で分かった。

大学や短大への進学希望は41%と同4ポイント減り、就職を希望する世帯の40%が経済的な問題を理由に挙げた。

調査は11月に実施。今回は初めて父子家庭なども対象に含め、計2585世帯を調べた。

この1年間で、勤め先の業績悪化や給料減など、仕事にマイナスの変化があったのは全体で51%。うち23%が「長引く不況」、9%が「東日本大震災や原発事故」を理由に挙げた。

2011年12月7日水曜日

過労自殺 ニコンなど賠償確定 上告退ける 遺族側が勝訴(日経新聞 2011.10.02 朝刊14版)

ニコンの工場に派遣されていた業務請負会社「アテスト」(名古屋市)の元社員、上段勇士さん(当時23)が自殺したのは過重労働による鬱病が原因だとして、母親ののり子さんが両社に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷 (千葉勝実裁判長)は1日までに、両社側の上告を退ける決定をした。計約7058万円の支払いを命じた二審判決が確定した。

二審判決によると、上段さんは1997年10月、アテストの前身の会社に就職し、埼玉県内のニコンの工場で半導体製造装置の検査業務を担当。窓のないクリーンルームなどでの業務が続き、99年3月に自殺した。

一審・東京地裁判決は「ニコンの労務管理のもとで業務に就いていた」などとして両社の責任を認め、計約2488万円の支払いを命じた。

二審・東京高裁も「自殺の原因は業務に起因する鬱病と推認できる」と判断。一審が「鬱病の発症から自殺までの期間が短く、回避可能性が低かった」として減額した分も賠償すべきだと認め、7058万円に増額した。

2011年12月6日火曜日

教育基本条例「議論見守る」文科相 (日経新聞 2011.11.29 夕刊 4版)

教育行政への首長の権限を強化する教育基本条例成立を目指す地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹氏らが大阪府知事・大阪市長のダブル選挙で勝利したことについて、中川正春文部科学相は29日の閣議後の記者会見で「知事、市長がそう言ったから全てが動くということではない。大阪の中でさらなる議論が高まると思うし、その議論を見守りたい」と述べた。

同条例案には府教育委員らが強く反発している。中川文科相は「改革への議論の高まりは大事にしたいが、中身の落としどころはまた違う。議論した上で、こちらが正しいという形にしてほしい」とし、内容の是非については言及しなかった。

文科相 「町費で教科書購入を」 沖縄・八重山 竹富町に圧力発言(しんぶん赤旗 2011.12.03 B版)

沖縄県八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)の中学公民教科書問題で、中川正春文部科学相は2日の閣議後会見で、地区協議会の答申とは異なる教科書を採択するとしている竹富町に対し、「協議会のルール通りやらないと決めるなら、決めたことへの責任をしっかり果たすべきだ」と述べ、答申以外の教科書は町費で購入すべきだとの考えを改めて示しました。

9月8日に八重山地区の全教育委員が協議し、東京書籍版を採択したことを無視し、憲法を敵視する日本教育再生機構の育鵬社版を強行に押しつけるもの。文科省は2日、「答申と異なる採択をするものであれば国は無償給付できず、町が購入し生徒に無償配布していただくほかないと考える」とする文書を県教委に送付、今月末までの報告を求めました。

2011年12月1日木曜日

教職員3割抑うつ傾向 宮城県(2011.11.30 しんぶん赤旗 B版)

宮城県教職員組合は28日、東日本大震災後、公立小中学校の教職員を対象に実施したアンケート調査で、一時的に気分が落ち込む「抑うつ傾向」が認められた人が30.5%に上ったと発表しました。学校側に特に困っていることを尋ねたところ「放射能に関わる対応」が最も多く、48.6%を占めました。

アンケートは9、10月に実施。教職員では全体の4分の1に当たる小学校2437人、中学校938人が回答。学校側は公立小中学校645校のうち328校が回答しました。

教職員を対象に「眠れない」「イライラする」など20項目のストレスチェックを実施したところ、「軽度の抑うつ傾向あり」と判断された人が23.2%、「中程度の抑うつ傾向あり」が7.3%でした。

学校を対象にした調査では、放射能への対応で行事開催の判断や保護者からの問い合わせに追われているとの回答が半数に上りました。他に「転出入に関わる業務量の増加」(37.3%)、「家庭の経済状況が困難な児童・生徒の増加」(35.6%)、「運動場・体育館・特別教室の確保」(33.2%)が多くありました。

2011年11月28日月曜日

中学校長の資質(1)

中学校長の資質が上がっているか、下がっているか。あるいは変わらないか。

大阪市内の中学校長の自作資料をアップする。長い文章なので、3回に分けて連載する。題名は「学校の実力が見える風景〜教職員の資質向上を目指して日常的に取り組むべきこと〜」となっている。

①傘立てを見れば担任の心が見えます
放課後、生徒用の傘立てに傘が残っていたら、次の降雨でこどもが困ることを想定できないのではありませんか。また、置いたままの傘で、子どもたちがチャンバラごっこをすることはありませんか。

②掲示物を見れば学校の感性が見えます
見栄えや誤字脱字の有無よりも、どのようなメッセージが込められているかが重要です。ましてや、押しピン1本だけで、プリント類をはろうとするのは論外です。掲示物は、4隅(大きなポスターなどはもっと多く)をきちんと留めてはるものです。

③あいさつを見れば危機管理意識が見えます
来校者に対しては、あいさつはおろか、目も合わせない教職員がいたら、そこは礼儀作法だけでなく、危機管理意識にも問題をもっている学校と言えます。

④掃除用具のロッカーを見れば、生徒指導の力量が見えます
雑巾、ほうきなどが清潔に整理整頓されていれば、生徒指導に優れた教員がいることがわかります。多くの場合、5月以降の教室は、担任の指導によって育った子どもたちが、心を込めて整理整頓しているものなのです。

⑤理科室などの教材室を見れば、教科指導のレベルがわかります
教材室を使いやすく整理するのは至難の業です。ところが、教科指導がしっかりしている学校の教材室は、いつもきちんと片付いています。廊下側のガラス戸に目隠しがあったら、おそらくそこは見られたくない状態になっています。

⑥保健室を見れば、養護教諭の実力が見えます
優れた養護教諭のいる保健室は、さわやかで心地よいものです。限られたスペースに、たくさんの物品があるのですから、整理するための衣装ケースなどが必要です。

⑦管理作業員室の用具置き場を見れば、管理作業員室の仕事ぶりが見えます
用具置き場を一見しただけで、管理作業員の仕事ぶりが見えます。仕事のできる管理作業員は、良い道具を使っています。管理作業員のために良い道具をそろえるのは管理職の仕事です。


教職員(ヒラ)は、この校長の文章から何を感じるだろう。

ヒラメ教師は当然と思うだろうが。最近は職場には青年が増えて、校長の思いこみ発言には重みが増す。

労働法を知らず、教職員組合の存在が希薄になる。しかし、当局に買収されない組合の存在感は増している。

職場に人権侵害が横行すれば、学校現場はブラック企業になる。

今も労働基準法が一部適用されない状態が続いている。給特法の改正が緊急に求められている。面従腹背の教職員が増えると、その影響は児童・生徒に及ぶ。

この校長は、評価の観点を教職員に披露している。この観点に従わなければ、低い評価になると示唆しているのだろう。

危機管理意識をこの校長はもっているのか。校長の言動の聞き取り調査からすると、あやしい。

少数職種(保健室や管理作業員)の仕事ぶりや部屋の整理を文章化すれば、不用な圧力になることを危惧する。

2011年11月26日土曜日

管理職選考試験における受験率・合格率低下の原因

かつての小学校長の中には、「指導」という名で瑣末なことまで指図した人物もいた。しかし、最近はM(問題)校長の噂はあまり聞かない。中学校の校長等の資質が問われるケースが増えているように思われる。パワハラ、セクハラ、安全衛生管理者の責任感欠如、学校運営での独走、教職員集団の分断など。

東京都では、昨年度の管理職選考試験の応募者が483人(募集定員450人)いて、合格率は1.1倍であった。9年前は4.2倍あった。4年前は2.0倍を切っていた。そして、管理職選考試験の条件として、主幹や指導教諭の経験者に限ったことも受験率の低下に拍車をかけた。

大阪府でも2005年から4年間で教頭選考試験で2割ぐらい減少している。大阪市でも受験率や合格率の低下がある。

降格者(文科省調べ)は昨年度では全国で93人いた。特に副校長・教頭では前年度と比べて2倍増えている。

なぜ管理職の受験率が低下したのか。魅力がなくなったからだ。職務内容・勤務時間・処遇で魅力がないと管理職アンケートで上位を占める。仕事の範囲の広さと責任の大きさ。セブンイレブン(午前7時から午後11時まで勤務)。職務内容や職責の実態に見合わない給与。

東京都の教頭の労働時間について書こう。中学校ー11時間25分、小学校ー12時間19分。労働条件の抜本的改善を早くしないと教育の崩壊が現実化する。民間人校長を採用する政策を取り入れる自治体があるが、労働条件の改善に着手しないと集まらないであろう。

労働条件の改善はもちろん教諭についても急がれる課題である。

2011年11月24日木曜日

柔道、安全授業へ真剣勝負 中学、春から武道必修化 教員、実技講習に汗(日経新聞 2011.11.17 夕刊 4版)

来年度から中学校の体育で柔道、剣道、相撲のいずれかを学ぶ「武道」が必修になることを受け、教育委員会や学校が安全対策を急いでいる。3種目とも学校での死亡事故例が報告されており、初めて教える学校からは不安の声も漏れる。各校は教員を集めた実技訓練を行ったり、医師の助言を受けたりと、万全の準備を目指している。

 「首のけがは生命に直結します。気を付けてください」。8月25日、さいたま市が市内の武道場で開いた柔道の実技講習会。市内の中学体育教員約60人の前で、講師が受け身、寝技の方法などを見せながら安全面での注意点を説明した。

 講習会は柔道の安全対策を徹底するため、今年初めて開いた。柔道を教えたことがない教員も多いため、基本的な技のかけ方や練習の方法を教えたほか、打撲部位を冷やすアイシングの仕方など、負傷時の処置も紹介した。参加した教師からは「生徒に手本が見せられそうにない」といった声も上がり、ビデオ教材の利用を勧める場面もあった。

 相模原市は6月、脳神経外科の医師を講師に、各校の体育教員を呼んで安全講習を開いた。柔道の投げ技は頭を床にぶつけなくても、頭が動く勢いだけで脳が傷つく場合があることや、2度連続で頭に衝撃を受けると危険が高まることなどを説明した。

 来年度から柔道の授業を始める同市立藤野中学校の清水孝子教頭(53)は「新たに指導する先生の負担は大きくなる。先生2人で1クラスを教えることも検討したい」と緊張する。

 武道の必修化は、子供の体力向上策の一環として国が2008年に決定。来年度から1、2年生の男女全員を対象に、柔道、剣道、相撲のうち1種目を必ず教える。以前はダンスなどとの選択制で、文部科学省によると、多くの学校が必修化を受けて初めて武道の授業に取り組む。

 専門の指導者を学校に派遣する自治体もある。東京都練馬区は既に男子について全中学校で武道の履修を開始。希望する学校には、全日本柔道連盟と全日本剣道連盟の有段者を2人ずつ派遣し、担当教師との3人態勢で指導に当たっている。

 文科省は「無理な試合をしないなど、十分な注意をすれば武道は飛び抜けて危ないスポーツではない。楽しく触れてほしい」と話している。

NIKKEI.com(2011.11.17 12:22)

2011年11月23日水曜日

派遣法案修正に理解 (2011.11.18 朝日新聞 朝刊14版)

連合の古賀伸明会長は17日の記者会見で、労働者派遣法改正案が大幅に修正される見通しになったことについて、「残念だが、法案を通していく苦渋の選択として受け止める必要がある」と理解を示した。同法案は野党の反発でめどが立っていなかったが、民主と自民、公明の3党は、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止の規定の削除などの修正をし、成立を目指すことで合意した。

派遣法改正案の修正を容認 連合会長(産経新聞 2011.11.18 朝刊)

連合の古賀伸明会長は17日の記者会見で、労働者派遣法改正案をめぐり民主、自民、公明3党が製造業派遣の原則禁止を除外するなどの修正方針を固めたことについて「残念ではあるが、苦渋の選択として法案を通していくことを受け止める必要がある」と述べ、法案修正を容認する姿勢を示した。

 古賀氏は「今の今でも与党が提出した法案が成立するのがベストだと思っているが、今の国会情勢の中では法案がそのまま通るのは極めて厳しい状況だ」と指摘。また「3党の合意で一定程度の方向性が取れたのならば、この臨時国会でぜひ成立させてほしい」として、法案の早期成立を求めた。
MSN産経ニュース(2011.11.17 19:25)

TPPに係る総理会見についての談話(連合事務局長談話、連合HP)

2011年11月14日
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に係る総理会見についての談話

日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行
 野田総理は、11月11日の記者会見において「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」との見解を表明した。わが国の経済成長と発展の基盤を再構築するうえで包括的経済連携の強化は重要な政策課題の1つであり、TPP交渉参加に向けた歩みを進めるとの野田総理の判断は是としたい。
 しかし、TPPに関する政府の説明不足が国民各層から指摘されており、各分野における懸念も払拭されていないことから、政府の情報開示はもとより、国内対策、さらには、国民的な合意形成への道筋を示すことが大きな課題である。

 会見の中で野田総理は、「日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる、安定した社会の再構築を実現する」「更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経たうえで、あくまで国益の視点に立って、TPPについての結論を得ていく」との決意を述べた。TPPへの交渉参加が、わが国の経済成長と雇用創出はもとより、アジア太平洋地域における公正で持続可能な発展につながるよう、政府は交渉戦略の確立と体制整備に早急に取り組む必要がある。
 加えて、政府は、TPPに対する様々な不安の声を真摯に受け止め、TPPに関する情報開示を徹底するとともに、必要なすべての分野についての国内対策確立に向けた議論を加速し、交渉参加への懸念を払拭しなければならない。

 連合は、2010年10月、「政府の『経済連携の基本方針』策定に対する連合の考え方」をまとめ、中核的労働基準の遵守、安易な人の移動の制限、強い農業の構築等への留意を前提とした包括的経済連携の推進を政府・民主党に求めてきた。
 今後は、TPPが農林水産、食品、医療・介護をはじめ幅広い分野に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、TPP参加に係る懸念事項と必要とされる対応策等を整理し、政府の適切な対応を求めていく。
 併せて、政府に対しては、国民への適切な情報開示と国民的な合意形成に向けた丁寧な対応を要請していく。

 連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、わが国の持続的成長と雇用創出に資する政策・制度の実現に全力で取り組んでいく。
 さらに、TPPがアジア太平洋地域における公正で持続可能な発展及びディーセント・ワークの実現に寄与するよう、交渉参加国のナショナルセンターと連携するなど、国際労働運動と足並みを揃えて取り組みを進める。

以上

2011年11月13日日曜日

過労死労災認定の企業名 開示求める判決 大阪地裁(日経新聞 2011/11/11 朝刊)

過労死などで社員が労災認定を受けた企業名を開示しないのは違法として、市民団体「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)=京都市=が国に大阪労働局の不開示決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(田中健治裁判長)は11日までに、請求を認め、不開示決定を取り消した。

 原告側弁護団によると、過労死を巡り企業名の開示を認めた判決は初めて。判決は10日付。

 田中裁判長は判決理由で「企業名だけでは特定個人を識別できない。企業の社会的評価の低下に直結するものでもない」と指摘し、情報公開法で定める不開示情報に当たらないと判断した。

 判決によると、寺西さんは2009年3月、大阪労働局管内で02~08年度に従業員が脳や心臓の疾患で死亡したり病気になったりして社員が労災認定を受けた企業名の開示を請求したが、同年4月、不開示とされた。

 判決後、記者会見した寺西さんは「過労死を繰り返さない社会の実現に向けて一歩前進した」と判決を評価した。
Nikkei.com(2011/11/11 08:58)

2011年11月10日木曜日

大阪市教委の国旗掲揚・国歌斉唱についての通知

教育長は2011年1月27日、通知を大阪市各学校園の校長と園長に出した。

国旗掲揚・国歌斉唱について、5点にわたる通知である。

国旗を式場内に掲揚する。

国歌を式次第に掲載する。

起立して斉唱する。

音楽の授業等における国歌斉唱の指導を進める。

卒業式及び入学式においては、ピアノまたは吹奏楽による伴奏で、大きな声で国歌が斉唱できるよう指導を進める。

そして

また、郷土を愛する心を育てるという観点から、大阪市旗の掲揚、市歌の斉唱の実施を進めていただきたい。

今年度も上記のような通知が出されるだろう。政令指定都市の大阪市には文部科学省から直接に圧力がかかってくると聞く。

12月から1月にかけて職員会議で卒業式の実施案を討議する。かつては侃々諤々の議論が展開された。平行線の議論で疲労し、空中戦で時間を浪費した。最後は管理職の「お願いします」「管理職の責任で実施します」の空疎なコトバで卒業式を迎える。職員会議が憂鬱で反抗的なものから逃避と儀礼の時間に変化してはいないか。教師が教育的視点から目を逸らし、お上(教育委員会)に盲目的に従属し、自らの保身を考えるようになれば、この国の将来は暗い。

2011年11月2日水曜日

こども相談センター(旧児童相談所)のケースワーカー

大阪市青少年局調べ。

こども相談センター(旧森之宮の市立労働会館)のケースワーカー(児童福祉士)の数、一人あたりの件数ならびに受持ち行政区の数について情報提供を求めた。

こども相談センター全体でケースワーカーは60名がいる。(スーパーバイザー11名含む)

平成22年度1年間の養護・非行相談件数を担当する児童福祉司数で割ると一人あたり約140件となり、施設入所しているケースについては約60件で、合計約200件になる。また、地区担当ケースワーカーは一人あたり1区ないしは2区を担当している。

養護・非行相談に対応できる体制になっていない。仕事に追われている児童福祉士の姿が浮かんでくる。

ケースワーカーの多忙を減少させるため、補正予算でこども相談センターに嘱託職員を配置した。その職員の身分と給与の情報提供を併せて求めた。

・虐待通告にかかる業務を行なう非常勤嘱託職員(1名)
  月額報酬 168,000円  週30時間勤務
 
・ 児童福祉施設を退所予定の児童にかかる調整・支援を行う非常勤嘱託職員(2名)
  月額報酬 168,000円   週30時間勤務

週5日勤務として、1日平均6時間勤務となる。正規職員の勤務時間は7時間45分。正規職員の定数を増やすのをしないと、ケースワーカーの多忙を解決することにならない。
 

2011年10月30日日曜日

ヤンチャ(名詞)の意味

最近、「ヤンチャ」なるコトバが政治家から語られている。違和感というか誤用というか気になる状況がある。他人の理解度を薄める効果を狙っているようにもうかがえる。

それで、牧村史陽さん(郷土史家)の「大阪ことば事典」を本棚から出して読んでみた。

講談社学術文庫に入っている。大阪のことばを調べる時は、まずこの本を見るようにしている。

その719ページに「ヤンチャ」の記述が載っている。
いたずらっ児。小児がむずかる時にいやいやということから、小児がわがままを言ってむずかることを指すようになったのであろう。「権太」もほとんど同意語であるが、ヤンチャの方が多少稚気があるようだ。また、ヤンチャクレなどともいう。

昭和59年10月10日 第1刷発行とある。定価1500円。奥付にある。

牧村史陽さんは大阪の郷土史家で有名な方である。明治31年船場で生まれ。独力で調査研究をする。昭和54年に亡くなる。

大阪市立小中学校の校長・教頭の居住地の分布

大阪市教育委員会総務課調べに拠る。

★小学校(299名)
校長では、市内在住者が133名に対して、府下在住者115名、府外在住者が51名となっている。一方、教頭は市内在住者が136名、府下在住者が117名、府外在住者が46名いる。

☆中学校(130名)
校長の市内在住者は65名、府下在住者が42名、府外在住者が23名となっている。教頭の市内在住者が66名、府下在住者が46名、府外在住者が22名になっている。
※教頭の合計が134名になるが、兼務者を含む数字になる。

★小学校
校長の市内在住者ー44.5%、府下在住者ー38.5%、府外在住者ー17.1%
教頭の市内在住者ー45.5%、府下在住者ー39.1%、府外在住者ー15.4%

☆中学校
校長の市内在住者ー50.0%、府下在住者ー32.3%、府外在住者ー17.7%
教頭の市内在住者ー49.3%、府下在住者ー34.3%、府外在住者ー16.4%

災害発生に伴う避難所の長は、校長あるいは教頭になる。地震・津波によって避難民が避難所に押し寄せる。運良く地域のリーダーによって校門の施錠が解除されても、教室や体育館のキーは職員室の中にある。警備会社に警備を委託している。校長・教頭が出勤できたらよいが、交通機関の運転遮断により、校長・教頭が不在であると避難所の機能立ち上げが遅れる。教職員の一致協力が発揮でき、教職員のリーダーが一時的に機能する。しかし、校長・教頭の不在が長く続けば、指揮系統の機能麻痺と緊急避難的対応の乱れが発生する。

この数字が避難所が機能するかしないかを表している。大阪市は災害発生時の混乱から市民をどう守るか。

2011年10月21日金曜日

大阪市の防災対策

災害時の収容避難所の施錠解除を誰がするのかが気になっていた。収容避難所の多くは小中学校だからだ。また、災害はいつ来るかはわからないからだ。

その施錠解除をするのは、小中学校の施設管理者の校長か地域在住者なのか。

大阪市危機管理室危機管理課が回答した。
「災害時の収容避難所の施錠解除については、区役所職員の指示により施設管理者が行うこととなりますが、夜間等の勤務時間外については、地域の自主防災組織が保管している施設の鍵により施錠解除を行うことを基本としています。」

太字の部分から皆さんは何を感じますか。

2011年10月2日日曜日

大阪市政だより(10月号) 平成23年度9月補正予算を編成

学校教育に関係した予算を抜粋する(a,b)。その後で問題点を指摘する(c)。

a.東日本大震災を踏まえた防災対策などー6億9300万円

●津波避難ビル指定にかかる表示板整備ー3000万円
●津波等避難の啓発(リーフレットの配布)ー1600万円

●電源の確保のため区役所への蓄電池等の設置ー4600万円
非常時の電源を確保するため、耐震化が完了していない区役所(住之江区、鶴見区、東住吉区、東淀川区、城東区)に太陽光パネル付き蓄電池を設置します。

●収容避難所等の備蓄体制の充実ー1億1700万円
すでに区役所等に食糧を備蓄していますが、速やかな配給を可能とするため小中学校等の市内全域の収容避難所にも備蓄し、また新たな品目として高齢者・乳幼児用等の食糧も充実します。

●中学校の普通教室への空調機設置に向けた設計ー4700万円
普通教室に空調機を設置し、教育環境の整備を図るとともに、災害発生時には収容避難所として活用できるよう、今年度中に全中学校の設計を行います。(注:全市中学校は129校。中高一貫校が1校。)普通教室の空調機については、平成24年度から順次実施し、残りの中学校についても平成25年度中に実施します。

●中学校給食の実施に向けた準備ー1億1400万円
平成25年度中の中学校給食の全校実施(家庭弁当との選択制)に向けて、配膳室の設計を行います。災害発生時、給食配膳室の冷蔵庫・温蔵庫で被災者の食糧衛生管理を行うなど、地域の防災拠点としての機能も期待できます。
平成24年度中に中学校給食を約100校で実施し、残りの中学校についても平成25年度中に実施します。

b.児童虐待防止対策の強化ー2700万円
幼い子どもが犠牲となる虐待事件を二度と発生させないため、児童虐待を防止する体制を強化します。
●基礎調査やシステム入力を行う嘱託職員をこども相談センター(注:元の児童相談所)に1名配置します。
●施設を退所した場合においても家庭訪問などのフォローや関係機関との調整など連携を図るための嘱託職員等を施設とこども相談センターに配置します。


c.補正予算の問題点
●「区役所に太陽光パネル付き蓄電池を設置する」とあるが、区役所は司令室機能を発揮する発想から電源確保となったのだろう。地震・津波、台風などの非常時に区役所職員(区長も含む)を招集しても集合できるのだろうか。各収容避難所にも電源確保のために、太陽光パネル付き蓄電池等を設置すべきではないか。避難所が孤立するのでなく、独立して連携できる体制を整備していくのがいいと思う。

●備蓄の充実については評価するが、「速やかな配給」体制を具体的に構築しているのだろうか。収容避難所の責任者が学校長になっている場合、教職員も協力して救援活動が期待されるだろう。その場合に教職員を招集しても、交通遮断や被災のために出勤できないケースが阪神・淡路大震災時にあった。また、学校長や教頭が市内在住者でない場合に施錠を解除できないケースも発生するだろう。教職員の居住地での救援活動を公務と認める考慮がなされているのか。柔軟な発想が求められている。

●「中学校の普通教室への空調機設置に向けた設計」に予算をつけたのは評価する。現場からは早期にクーラー設置の声が要求されていた。空調機の電源がガスか電気か。温暖化防止の見地から検討された結論なのか。空調機設置が収容避難所になる学校に適しているのか。
例えば、太陽光パネルを屋上に設置したら、教室の温度にどんな変化があるのか。屋上に芝生を敷くことも考えられるであろう。そういう検討がなされたのか。

●「中学校給食の実施に向けた準備」で、「中学校の給食配膳室と空調機の設計を前倒しで実施」が学校現場で混乱を起こしている。
中学校では、プレハブを校地に建てて配食弁当を販売している。大阪市の補助で350円の弁当が280円で販売されている。
代金をチャージするか、クレジットカード利用するかの二つを選ぶ。利用者が10%を超えていない。ご飯は温かい。おかずが冷たい。カレーライスは冬には利用者が増える。カレーパックも温かいからだ。冷蔵庫と温蔵庫がプレハブに設置されている。

ある中学校。給食配膳室を1階に置くので、教室配置の変更が市教委から言われてきた。玉突き状態だ。1階のカウンセリング・ルームがその候補になった。カウンセラーが配置され、学外から相談者が来やすいように教室が配置されている。でも、水戸黄門様のお通りだ。2階の空き教室にカウンセリング・ルームのお引越し。空き教室とはいえ、生徒指導で使える便利なスペースでもあったのだ。このような混乱が129校で起こっているのだろう。

●「児童虐待防止対策の強化」と胸を張れるだろうか。正規のケースワーカー(児童福祉士)の数を増やすことが喫緊の課題なのではないのか。課題に忙殺されているケースワーカーの働く姿が浮かぶ。マスメディアはすぐ責任探しをして、たたく。自らは正義の味方で批判されない。事件は姿を変えつつも繰り返す。問題が根本的に解決されない。

11月27日執行予定の大阪市長選挙立候補予定者説明会が10月13日、大阪市役所本庁舎で開かれる。

2011年9月27日火曜日

日本ペンクラブ、大阪府条例案に反対を表明

日本ペンクラブは9月26日、声明を発表した。

浅田次郎会長名で「私たちは、大阪府教育・職員基本条例に反対します」をホームページに掲載している。

「大阪府教育条例」の中心を「知事が教育目標を定め、その下の教育委員会ー校長ー教職員を指揮命令系統のように序列化し、そこから外れると見なした教職員を一律に排除すること」だと見抜いている。それは「まるで工場の品質管理」のようだとも言う。「思想信条によって人が序列化されたり、差別・弾圧されたり、また職場や地域や国から追われることには反対してきた」組織である日本ペンクラブは明確に反対を表明している。

教育への政治介入を条例によって正当化しようとする知事の独裁的・非人間的手法を批判する声は広がっている。今の教育委員会は文部科学省の下請けになっているが、教育委員会制度を活性化した例がある。教育委員準公選制を実施していた東京都中野区だ。

教育委員会制度を骨抜きにするのでなく、活性化する道をさぐることを提案したい。

2011年9月19日月曜日

祝日も出勤する妻と条例案

敬老の日で休日だ。妻は朝からバタバタしている。外出するのかと聴く。

学校を会場にして、地域の敬老会でお茶会をするのに参加するのだ。生徒を引率して、参加者にお茶とお菓子を出すのだ。今の職場で5〜6年続いている。勤務割り振りの変更をして、平日に休むこともしないだろう。疲労が蓄積して、休日は横になっている。勤務時間も守られていない。残業は当たり前。休憩時間も取れない違法状態。

しんぶん赤旗(2011.09.19)の1面に16日に開かれた大阪府教育委員会で、「教育基本条例案」について教育委員から強い批判があがったと報道している。

大阪「維新の会」の「教育基本条例案」
府教育委員全員が批判
「横暴」「現場を無視」
知事肝いり委員も
厳しい言葉ついて
「総辞職しかない」

「首長の暴走」(平井一臣著、法律文化社)を読んでいる。
マックス・ウェーバー『職業としての政治』からの引用から始まる。

ただ次のことだけははっきりと言える。もし今この興奮の時代にー諸君はこの興奮を『不毛』な興奮ではないと信じておられるようだが、いずれにしても興奮は真の情熱とは限らないー突然、心情倫理家が輩出して、『愚かで卑俗なのは世間であって私ではない。こうなった責任は私にではなく他人にある。私は彼らのために働き、彼らの愚かさ、卑俗さを根絶するであろう』という合い言葉をわがもの顔に振り回す場合、私ははっきり申し上げる。ーまずもって私はこの心情倫理の背後にあるものの内容的な重みを問題にするね。そしてこれに対する私の印象はといえば、まず相手の十中八、九までは、自分の負っている責任を本当に感ぜずロマンチックな感動に酔いしれた法螺吹きというところだ、と。

あとがきで著者は「単純な官民比較によって官僚や公務員をバッシングするのではなく、議論の土俵そのものを考え直すべきではないのか」と説く。

府知事の暴走によって、誰が利益を手にするか。一時の情熱に流されて、流れ着いたところが理想郷でなかったことを願わない。

「教育基本条例案」は知れば知るほど、ヒドイ内容の条例案だとわかる。日本国憲法下の日本でこんな条例が成立させられようとしている。アナクロニズムの政党、その党首の反民主主義性が分かろう。

首長の独走を見るが、大阪府知事のような暴走で教育はよくなるか。「教育改革」の美名でいろんな施策が実行されたが、その利益を国民は手にしたか。2学期制。小中一貫校。学区の統合。学力テストの成績の情報公開。教育指導要領の改訂。これらの施策の失敗で責任を取った者の不在。「教育は百年の大計」とかつて言われた。短期間に成果を出さなくてはいけないような教育は実験であって、教育に馴染まないものであろう。

2011年9月18日日曜日

教職員用危機管理シートを提出させた管理職

ある中学校職場で「厳重保管 教職員用危機管理シート」なるものが、全教職員に配布された。

校長名で「手術等の不測の事態発生時の緊急時の連絡先」を記入して提出をするようにと連絡があった。。1学期末で忙しい時期になんでなのと疑問に感じた教職員もいたらしいが。

本文は以下の通り。

教職員の皆さんが、勤務中に病気等で手術の必要に迫られた時に親族の立ち会い及び承認がなければ、病院としても「麻酔」等の処置さえとることができません。

しかし、現在、皆さん自身の自宅の電話番号や携帯番号は分かっても、このような場合に備えての「緊急連絡先」等の対応ができていないのが現状です。

つきましては、下記に緊急時の親族等への連絡先をお書きいただき教頭に提出をお願いします。

提出された「連絡先」は校長室の金庫に保管し、手術等の不測の事態発生時にのみ使用します。また、転勤・退職の場合は、破棄いたします。

本人の名前
住 所
自宅電話番号
緊急時電話連絡先 ①職場・電話番号 関係
(名 前) ②携帯番号
①にかけてもつながらない場合に②にかけます。
備考(特記事項)


注記として1〜3が載っている。
1 封筒に厳封して教頭にご提出ください。
2 内容に変更がある場合は、その都度、教頭に連絡をしてください。
3 この用紙は、意識不明等で本人から連絡先を聞くことができない場合に使用しますので、それを想定してご記入をお願いします。

★個人情報をここまで収集していいのか。個人情報保護法から見て、必要以外の情報を集めているとしか思えない。
☆緊急時電話連絡先の本人との関係を書かねばならないか。
★不測の事態が発生しないように、普段から管理職は教職員の健康に気を配っていなければならない。労働安全衛生法を学習しているのだろうか。
☆こんなシートを作成・配布・回収したことを市教委は知っているのか。

運動会の季節に想う

運動会(中学校では体育祭)に向けて、練習を行っている学校が多いだろう。

我が家の近くの小学校でも、子どもたちの声やマイクを通した先生の指示が聞こえる。「君が代」が流れてくる。あれ~、おかしいぞ。儀式(入学式や卒業式)に管理職を通じて、教員に強い「お願い」が降りてくる。この曲が流れてくると、へへ~と畏まる自分が見えてくる。戦前、戦中の臣民の気分が纏わり付いてくるのだ。アナクロニズムに囚われている日本の教育は間違っている。運動場の隅に日の丸が常時翻っている。その旗に注目しながら歌を聞いているのであろう。民主党政権になっても、文科省の偏向教育は収まらない。

大阪府でも、知事で地域政党代表が「教育基本条例案」を議会に提案する。民(意)をバックに過半数の力で成立させる手法には賛成しかねる。大阪弁護士会が15日、反対声明を発表した。公務員(とくに教員)が嫌いな現知事は、公務員を敵にして府民にカタルシスを与えるリーダー像を描いている。独裁を認める。石原都政のマネをしている府知事には早く大阪から退場を願いたい。

ナチスが政権を握る過程をおさらいするのも、大阪に独裁者を君臨させない教訓になろう。

1933年4月 「公務員再建法」制定。(反ナチスの人物やユダヤ人を公職追放)
1934年9月 ナチス党大会でヒットラー演説。「我々が役人に支配されるようなことがあってはならない。我々が役人
を支配するのだ」
1935年 ルドルフ・ヘス(副総統、無任所大臣)が公務員の人事権を掌握。
1939年〜 ナチスの党員でない者は公職に就けないことを認める。「党員を国家組織の要職に任命するなどの手段に
よって、国家組織を支配しようとした」

国家組織を大阪府や学校教育に置き換えるとどうだろう。要職を校長や教育委員に置き換える。かつて教育が政治介入で国家に都合のいい国民づくりを強制させられた過去がある。大阪府を先頭にして、右寄りの教育改革が始まろうとしている。そうさせてはならない。

2011年9月4日日曜日

読売新聞 なり手いない副校長、都内公立小の2割で不足(2011.09.03)


 東京都内の公立小学校の約2割で、2013年度、教員の育成や外部との窓口役になる副校長が配置できなくなる可能性があることが都教育委員会の推計で分かった。

 都内の公立小は1308校と全国最多で、約250人が不足しており、秋田県の公立小学校数に相当する。団塊世代の大量退職に加え、実態は雑務に追われがちな管理職が敬遠されていることが背景にある。

 都教委は現在、定年退職者らの校長や副校長への再任用などで対応しているが、14、15年度も約200人ずつ不足する見通しだ。

 都内公立小の副校長の定数は1311人だが、近年は年200人程度の管理職の定年退職者が出る一方で、管理職選考の受験者も激減している。主に中堅教員を対象とする「B選考」の場合、2000年度に3・2倍だった倍率は08年度以降、1・1倍まで落ち込んでいる。自ら望んで校長や副校長から教員に身分を戻す「降任」も年10人程度いる。

 副校長職が敬遠される原因の一つは、その「激務」ぶりだ。都教委が昨年9~10月の2週間、勤務実態を調べたところ、1日の平均勤務時間は12時間19分。残業は平均4時間、9割は「休日の半数以上が勤務」で、その3分の1は休日全て出勤していた。仕事の内容も、電話応対や書類作成などの事務作業が多く、「心の病」で休職する副校長も校長の2・8倍に上る。
Yomiuri online(2011.09.03)

2011年9月2日金曜日

日経新聞 ユニクロ、始業は朝7時 本部就業2時間前倒し(2011.08.30 朝刊14版)


 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは9月から、就業時間を現在より2時間前倒しし、午前7時~午後4時とする。仕事を終える時刻を早め、その後の時間は社員に語学やビジネス上の知識を学ぶ時間に充ててもらう。世界展開を進める上で必要な人材の育成につなげる。

 東京本部(東京・港)などで働く社員約2000人が原則対象となる。今夏の電力不足でサマータイムを導入し一時的に就業時間を早めた例はあるが、就業規則を改めて恒常的に午前7時から仕事を始める企業は珍しい。店舗で働く社員は対象外とする。

 同社は来春から社内での公用語を英語にする。これに伴い、就業時間外に英語をインターネットで学び、一定の成績を上げれば授業料を全額補助する制度も導入している。柳井正会長兼社長は「語学だけでなく、本や新聞を読んで知識を得ない限り、良いビジネスマンにはなれない」と就業時間を変える理由を説明する。

 ユニクロの店舗数は現在、国内の約840店に対し、海外は約180店。「今後の成長の舞台は日本よりも海外」(柳井会長)として、H&M(スウェーデン)やギャップ(米)など世界のカジュアル衣料ブランドと戦っていく方針を打ち出している。今後はアジアを中心に海外で積極出店を進め、ユニクロ事業の売り上げに占める海外比率を現在の1割強から4~5年後には5割に高める計画だ。

 外国人の新卒採用者も本社の管理職コースへ道を開くなど、人材面から国際競争力を底上げする戦略も取っている。

 就業時間の変更はこうした狙いのほか、電話のやりとりが少ない早朝から働けば「集中して仕事ができる」(柳井会長)との読みもある。同社には労働組合がない。
nikkei.com(2011.08.30 02:26)

朝日新聞 最低賃金引き上げ決まる(2011.09.01 朝刊 14版)

大阪労働局は31日、府内の最低賃金を7円引き上げ、1時間当たり786円にすると発表した。9月30日から適用される。引き上げは8年連続。最低賃金は生活保護費の時給換算額を7円下回っており、その差が解消される。

2011年9月1日木曜日

大阪維新の会「教育基本条例案」の問題点

大阪府議会の過半数を占める「大阪維新の会」(橋下府知事が代表)は、この秋に「教育基本条例案」を府議会に提出しようとしている。

改正「教育基本法」(平成18.12.22)でも、教育に行政は介入してはいけないとなっている。戦後教育の原則(政治が教育に介入してはならない)をご存じでない。いや、知っていながら、思い込みに突き動かされている。確信犯的権力政治を府民に押し付けようとしている。

第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2  国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3  地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4  国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

条例で大阪府の教育を、行政の長たる橋下府知事は支配できることになる。
☆校長の公募
★府立高校の学区撤廃
☆3年連続定員割れの府立高校の統廃合(統合はわかるが、廃合という単語は行政用語で意味不明)
★2年連続最低評価の教員の首切り
☆学力テスト結果の学校別公表(隣の学校を競争相手と見なし、サバイバル・ゲーム(競争)が激化。公表して、誰が利益を得るのでしょう?)→低学力から抜け出せない公立学校を最終的に統廃合の対象にするか。大阪府の教育をサバイバル・ゲームに投げ込む橋下知事は『てっぺん野郎』(佐野真一)第2号に出世するか。もちろん「てっぺん野郎」とは東京都のあの人だ。

「てっぺん野郎」第2号は、やりたい放題。東京都のあの人からお墨付きを貰ったから、怖いものはない。

⌘「教育への政治介入と“処分条例”許さない府民集会⌘
・9月6日(火)午後6時30分開会
・エルおおさか大ホール(地下鉄・京阪 天満橋駅下車西)
・講演:「教育に強制はなじまない」堀尾輝久氏(東京大学名誉教授、元日本教育学会会長)

東大阪市教育委員会教育長への抗議文ー子どもと教科書大阪ネット21

東大阪市教育委員会は7月26日、4:1で育鵬社公民の採択を決めた。歴史は3:2で東京書籍に決まる。

大阪では大阪維新の会(代表ー橋下府知事)の地方議員(大部分は日本会議地方議員連盟所属)や日本会議地方議員連盟所属の自民党などの議員の動きが活発化してきた。

教育長が水面下で採択をリードしていたと言われている。育鵬社版の公民の教科書を使う生徒は1学年約4000人。

子どもと教科書大阪ネット21が東大阪市教育委員会教育長にあてた抗議文は以下の通り。


中学教科書採択について抗議するとともに、撤回を要求します

2012年度から東大阪市内各中学校で使用される社会科公民的分野の教科書について、東大阪市教育委員会が決定した件について強く抗議するとともに、撤回を要求します。
私たちは、多くの父母市民とともに日本国憲法に盛り込まれている「平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」をもとに市民社会と生活を維持し発展させていくために子どもたちにより良い教科書を、より良い教育をと尽力してまいりました。
今回採択を決定した育鵬社の公民教科書は、市民が強く願う平和で民主的な社会を否定し、他国との揉めごとは武力によって解決すると言わんばかりの内容です。また、中国や韓国・北朝鮮といった近隣諸国への蔑視感情や敵対心を植えつけるような記述は、教育基本法にある「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と相容れない内容です。東大阪市には外国人の子どもも多く、地域の公立学校に通学し、日本人生徒とともに学校生活を送っています。
今回採択が決定された育鵬社の教科書は、そうした子どもたちを大いに傷つけ、教室内に偏見に満ちた対立を招きかねない教科書です。
独善的な歴史観に満ちた一国中心主義の考えではなく、さまざまな地域の人々と手をつなぎあって互いに理解しあうなかでこそ平和がつくられていくということを子どもたちに教えなければならないはずです。東大阪市の子どもたちが、未来に希望を持ち、広く近隣諸国の人々と手を携えて、真の平和を実現していけるよう成長していくことができるような、教科書を選ぶことが大人の務めではないでしょうか。
今回の、東大阪市教育委員会がとった処置に強く抗議するとともに、再考されることを強く要望いたします。
以上
子どもと教科書全国ネット21NEWS79号・付録から引用。(2011.08.18)

しんぶん赤旗 1日13時間働き過労死 朝日ソーラー営業マン 妻が提訴 さいたま地裁(2011.09.01B版)



 太陽熱温水器などを販売する朝日ソーラー(本社・大分市)の川越支店(埼玉県川越市)で働いていた金澤吾郎さん=当時(36)=が過労死した事件で31日、吾郎さんの妻が同社を相手取り、慰謝料や逸失利益など総額1億3780万円余の損害賠償を求めて、さいたま地裁に提訴しました。

 吾郎さんは2010年3月3日、虚血性心疾患で亡くなりました。訴状によると、吾郎さんは営業職の先頭にたって成績を上げる「隊長」職の立場でした。勤務はおおむね午前8時に出社し、営業を終えて支店に戻るのは午後10時半すぎ。休憩もほとんどなく、1日の労働時間は平均13時間、月の休日は2~3日程度、月平均労働時間は最低でも351時間に及びました。

 さいたま市内で会見した原告弁護士の話によると、支店長(当時)は「労基法なんて関係ない」と話し、会社は勤務時間を午前9時半~午後8時半(休憩は3時間)とする虚偽の「出勤簿兼業務報告書」を作成していました。

 3人の子を育てる妻のめぐみさん(37)=さいたま市西区=は会見で、遺影を手に「本当に悔しい。もう二度と第二の吾郎をつくってほしくない」と語りました。

 吾郎さんの死後、川越労働基準監督署は同年3月30日付で労災を認定しています。
jcp.or.jp/(2011.09.01)

2011年8月11日木曜日

しんぶん赤旗 侵略美化の教科書不採択 東京・杉並、区民傍聴の中、6年ぶり(2011.08.11 B版)


 侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社歴史教科書を6年間使ってきた東京都杉並区で10日教育委員会が開かれました。中学校の教科書採択が行われ、歴史・公民とも、つくる会系の育鵬社・自由社の教科書を採択しませんでした。

 歴史・公民とも5人の教育委員のうち2人が育鵬社の教科書を支持しました。しかし、「子どもが自分で考えられる力がつかない」「教員が使いにくく、生徒の学ぶ意欲がわかない」と育鵬社を推せない意見が多数を占め、歴史・公民とも帝国書院を採択しました。

 教育委員会には20人の傍聴席に約260人が駆けつけ審議を見守りました。傍聴していた同区の女性(52)は「私立で歴史を教えてきたが、扶桑社やそれを引き継ぐ育鵬社の歴史の誤りは歴然としています。採択してきたのは政治利用だった。新しい2人の委員が子どもの立場で考えるべきだとしっかり反対してくれてよかった」と話しました。

 11年間教育委員会を傍聴し続けた「杉並の教育を考えるみんなの会」の女性(71)は「みんなの運動の成果です。東京で唯一扶桑社を採択してきた杉並で採択しなかった意味は大きい。全国に広がってほしい」と話していました。

 同区では2005年に扶桑社版歴史教科書が採択され、広範な区民が反対運動を続けていました。
Jcp.or.jp(2011.08.11)

朝日新聞 つくる会教科書、長崎原爆の写真を広島と誤記(2011.08.09 朝刊14版)


 「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された「自由社」(東京都文京区)の2012年度版の中学校歴史教科書で、長崎で原子爆弾が爆発した写真を「広島に投下された原子爆弾」と誤記していたことがわかった。

 現在学校で使われている10年度版には、投下地を特定せず「爆発した原子爆弾」との説明で同じ写真が掲載されているが、つくる会の執筆者が12年度版を作る際に、広島の写真と思い込んだという。

 現在、来年度から使う教科書を各社の12年度版から選ぶ「採択」の作業が、各地で行われている。同社は今後、文部科学省に訂正を申請し、12年度版の使用が始まる来年春までに修正すると説明している。

 自由社の12年度版をめぐっては、東京書籍(東京都北区)の02年度版教科書から年表の多くの部分を流用していたことが判明しており、自由社は文科省に訂正申請して新しいものに差し替える考えを示している。同社の担当者は「教科書の信用性を失う問題が続き、大変申し訳ない」と述べた。

Asahi.com(2011.08.09)

2011年8月10日水曜日

毎日新聞 避難所:公立学校の89.3%が災害時指定(2011.08.05)

避難所:公立学校の89.3%が災害時指定

 全国の公立学校の89.3%が自治体から災害時の避難所として指定されていることが5日、国立教育政策研究所の調査で分かった。だが、自家発電設備や非常用の通信装置といった防災機能の整備は不十分で、同研究所は「避難所の指定と防災機能の実態が必ずしも整合していない」と分析している。

 調査は、東日本大震災で被害の大きかった3県(岩手、宮城、福島)を除き、全国の公立小中高校など3万4185校を対象に実施した。このうち、避難所の指定を受けているのは3万513校に上った。

 一方、指定校に避難所としての基本的な防災機能を尋ねたところ、「停電に備えた自家発電設備がある」と答えたのは18%、「水を確保する設備(貯水槽、プールの浄水装置など)がある」も29.7%、「非常用の通信装置がある」も30.2%だけだった。さらに「学校の敷地内に防災倉庫・備蓄倉庫がある」は35.2%にとどまった。

Mainichi.jp(2011.08.05 19:57)

日経新聞 園児4人の遺族が損害賠償請求 石巻、送迎バス津波被害(2011.08.10 夕刊)

 東日本大震災の津波に宮城県石巻市の私立日和幼稚園の送迎バスがのみ込まれ、園児5人が死亡したのは、高台にあった園から海沿いに送迎バスを出発させるなど園側が安全配慮を怠ったためなどとして、死亡した園児4人の両親計8人が10日、園側や当時の園長に約2億6千万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。

 原告側弁護士によると、震災の避難誘導をめぐり、学校などの責任を問う訴訟は初めて。

 訴状によると、送迎バスは3月11日の地震から約15分後、大津波警報が出ていたのに園児12人を乗せ高台の幼稚園から海沿いに向けて出発。7人を順番に降ろした後、津波に巻き込まれた。

 園側の浅野孝雄弁護士は「訴状を見て、今後の対応をしていきたい」とのコメントを出した。
Nikkei.com(2011.08.10)


日経新聞(2011.08.10夕刊4版)
津波に宮城県石巻市の私立日和幼稚園の送迎バスが津波にのみ込まれ、園児5人が死亡したのは、高台にあった園から海沿いに送迎バスを出発させるなど園側が安全配慮を怠ったためとして、死亡した園児4人の両親計8人が10日、園側や当時の園長に約2億6千万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。

原告側弁護士によると、震災の避難誘導を巡り、学校などの責任を問う訴訟は初めて。

訴状によると、送迎バスは3月11日の地震から約15分後、大津波警報が出ていたのに園児12人を乗せ高台の幼稚園から海沿いに向けて出発。7人を順番に降ろした後、津波に巻き込まれた。
原告側は「防災無線やラジオで情報収集せず、安全配慮義務を怠った」と指摘。地震時のマニュアルでは、保護者が園に迎えに来るのを待って園児を引き渡すことになっているが、守られなかったと主張している。

朝日新聞 維新の会が職員管理条例案 職務命令違反は3回で免職も(2011.08.10 夕刊4版)



 大阪府の橋下徹知事が代表を務める大阪維新の会が府議会などに提出する「職員基本条例案」の全容が判明した。教員を対象に同内容の条例も作成。政治主導で地方公務員の人事評価や懲戒・分限処分の基準を明文化する全国初の条例案で、公務員の「管理」を徹底する狙いがある。

 6月に条例化された君が代の起立斉唱などの職務命令に3回違反した教職員を免職とする規定のほか、組織再編で過剰になった職員を分限免職にできるリストラ規定なども盛り込んでいる。維新の会は9月の府議会、大阪・堺両市議会に条例案を提出する方針。

 条例案は本文と詳細な処分規定を定めた別表で構成。本文では条例制定の趣旨を「硬直化した公務員制度を再構築する」とし、「職員に関する最高規範」と位置づけている。
Asahi.com(2010.08.09)

2011年8月7日日曜日

日経新聞 国家公務員の定年延長、60歳超は給与3割減 人事院素案 13年度着手、管理職からも退く(2011.08.07 14版)

 国家公務員の定年延長に向け、人事院がまとめた新人事制度の素案が6日、明らかになった。公的年金の支給開始年齢引き上げに合わせ、現在は60歳の定年を2013年度から3年ごとに1歳ずつ上げ、25年度に65歳にする。人件費の膨張を防ぐため、60歳超の給与は年収ベースで50歳代後半より約3割削減し、60歳になると管理職を外れる役職定年制も導入する。

 人事院によると、60歳超の職員の給与は同様の制度を導入している民間企業の事例を踏まえて設定した。事務次官級を除いて「50歳代後半層職員の7割水準に設定する」と明記、60歳超は昇給しないことにした。60歳超を対象とする週15時間30分~31時間の短時間勤務制も導入する。

 本省課長級以上は役職定年を迎えた後、スタッフ職などに異動させるほか、公益法人などへの派遣制度の拡充で対応する。退職手当を上乗せする希望退職制の導入も検討課題として掲げた。事務次官級は役職定年の対象外とし、局長の役職定年の年齢も18年度までに引き上げる方向。

 民主党は公務員の天下りあっせんの全廃を打ち出しており、定年延長を認める方向。ただ人事が停滞するとの見方があるうえ、現役派遣など天下りの「抜け道」が残っているとの指摘もある。

 人事院は給与勧告と併せ、新制度案を9月下旬に内閣と国会に提出する。導入には国家公務員法と国家公務員給与法の改正が必要だ。

 野党は政府・民主党の公務員給与への切り込みは不十分と主張。政府が今国会に提出した国家公務員の給与を5~10%引き下げるための法案も成立のメドが立たず、新制度案も批判を浴びる可能性が高い。経済界などには公務員の定年延長への反対論も強い。一方、高齢職員の給与削減には民主党の支持団体、連合などが反発している。

Nikkei.com(02:05)

2011年8月5日金曜日

私の衛生推進者体験

13年間勤めた職場で衛生推進者を3年間した。

安全衛生委員会をまず立ち上げた。校長、教頭、養護教諭、衛生推進者、教職員代表3人からなる組織の規約や会議の運営を担った。産業医は校医ではなかった。月に1回の巡視もなかった。学期に1度、会議を開いた。初年度は産業医の出席を求めても、一度も出席がなかった。管理職も相手が医者なので、強く押せない。医者にとっても、少額なので、力が入らないだろう。

私が退職した年。こちらから情報を提供し、足も運んだ。産業医の理解も深まった。健康アンケートも毎年実施しているのに、改善が見られず、マンネリに陥った。アンケートを集計し、分析を産業医に依頼した。それを基に委員会で管理職に勧告をしてもらった。ただ、勧告に従わなくても罰則はない。産業医の委員会出席は3学期のみであった。

改善することを列記する。
1.学年の声を反映できるように、安全衛生に関心のある人を委員に選出する。
2.産業医に情報を隠すことなく提供する。足を運び、衛生推進者との人間関係をつくる。
3.学期に1回では職場の問題把握ができない。各種委員会のように、毎月開催する。
4.産業医に月に1回の巡視をするよう、教育委員会から医師会に依頼する。
5.学校長に健康配慮義務があることを判例に基づいて説明する。
6.労働法の学習を進める。

2011年7月29日金曜日

日経新聞 公立中高の教員、3人に1人が50歳以上 平均年齢最高に(2011.07.29)

 全国の公立中学校と高校の教員の平均年齢が過去最高になったことが28日、文部科学省がまとめた2010年度学校教員統計調査で分かった。小学校教員も前回調査から横ばい。いずれも3人に1人以上が50歳以上となった。第2次ベビーブームで1970年代後半以降に大量採用されたベテランが定年に近づき、若手への知識や経験の継承が課題になっている。



 同調査は3年に1度実施。公立学校教員の平均年齢は小学校が44.4歳で前回に比べ0.1歳低下、中学校は44.2歳で0.3歳上昇し、高校は45.8歳で0.5歳上昇した。

 年齢構成は小学校で50歳以上のベテラン層が38.4%と、35歳以上50歳未満の中堅層(38.2%)を初めて上回った。中学校はそれぞれ34.0%、44.7%。高校は37.4%、46.9%。小中高ともベテラン層の割合が増え、中堅層は減少した。35歳未満の若手層は小学校で23.4%、中学校は21.3%、高校が15.7%だった。

 50代の教員が35%以上を占める都道府県は小学校が33府県、中学校が14都府県、高校が15都府県。今後10年間で小学校は関東地方で3万9028人、近畿地方で2万7185人が定年を迎える。

 09年度の教員の離職状況で、うつ病など精神疾患が理由の退職者数を初めて調査したところ、公立小中高で590人に上った。多忙さや保護者への対応などで心を病む教員が多いとみられ、文科省は教育委員会に事務負担の軽減や職場環境の改善などを促している。離職者数は定年退職も含め小中高全体で3万398人だった。

Nikkei.com(2011.07.28 21:50)

2011年7月28日木曜日

高校職場での安全衛生委員会の不十分な開催等について 大阪市公正職務審査委員会による報道発表(2011.07.27)

1 通報概要

 労働安全衛生法(以下「法」という。)、労働安全衛生規則(以下「規則」という。)において、月1回の安全衛生委員会の開催や議事録の周知義務、3年間の記録保存義務が課されているにもかかわらず、大阪市立の学校園は、これらの規定を無視して、月に1度の安全衛生委員会を開催しておらず、会議録の作成・公表や、記録保存も行っていない。例えば、ある高等学校では、平成19~平成21年の間に1度も安全衛生委員会が開催されておらず会議録も存在していないし、産業医の巡視の記録もない。また、別の高等学校では、ある年度に安全衛生委員会を開催したとしているが、会議録もなく、産業医の巡視の記録もない。このように、産業医の巡視も高等学校などでは実施されていない。もし、産業医が、労働安全衛生規則で定められた巡視義務を果たしておらず、安全衛生委員会への出席等の労働者の健康管理に必要な業務を行っていないならば、なにも業務を行っていない産業医に対して、漫然と報酬を支払っていることは問題である。他にも作業環境測定も行う義務があると思われるが、これについても適切に行われているのかどうかも併せて調査して欲しい。また、総括安全衛生管理者である教育委員会事務局教務部長(以下「教務部長」という。)についても、安全管理者・衛生管理者の指揮監督を怠っていると思われる。

 

2 調査結果

 大阪市立の高等学校(以下「高校」という。)全22校の平成19~21年度における安全衛生委員会の開催状況、産業医による職場巡視の実施状況及び作業環境測定の実施状況について調査を実施し、次の事実が確認された。

(1) 安全衛生委員会については、調査期間中、毎月1回以上開催された高校は存在せず、年度を通じて1回も開催しなかった学校が4校存在した(うち1校については、教職員数50人未満の職場であるため法律上、安全衛生委員会の開催義務はない)。

  また、安全衛生委員会が開催された場合においても、議事概要の教職員への周知が行われなかった高校が複数存在した。

 

(2) 産業医の職場巡視が、調査期間中、毎月1回以上実施された高校は存在しなかった。

  また、その調査期間中を通じて職場巡視が全く実施されなかった高校も12校存在する。

 

(3) 各高校共に、産業医への報酬を年4回に分け支払っている。

  またその報酬金額については、平成19年度は月額20,000円(基本金額)、平成20~21年度は月額28,000円である。

 

(4) 作業環境測定については、3校を除いては調査期間中に実施されたことがなく、残る3校についても、年度内に1回しか実施されていなかった。

 

(5) 大阪市教育委員会(以下「教育委員会」という。)においては、常時使用労働者数が1000人以上の事業場が存在しないため、法第10条に基づく総括安全衛生管理者を選任する必要がないことから、教務部長は、法等に規定された総括安全衛生管理者ではないものの、大阪市立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援教育諸学校及び専修学校(以下「学校園」という。)全体の安全・衛生管理業務を総括管理する目的から名称としては、「総括安全衛生管理者」を用いている。

  なお、大阪市立の学校園は、それぞれ事業場として独立した安全衛生委員会を設置しており、教務部長は、教職員の危険又は健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項のうち統一的な措置を必要とする事項等について、調査審議する協議会の委員長という立場で大阪市立の学校園全体を総括している。

 

(6) 教育委員会事務局では、平成17年度以降、大阪市立の学校園における安全衛生管理体制を整備し、各学校の状況を把握のうえ、大阪市立の全学校園に対して改善指導を行ってきた。特に高校・特別支援教育諸学校については、法定による実施を指示していた。こうした啓発により、各校とも安全衛生委員会の開催意義と必要性の認識はあったが、実際には日程上開催できないというのが実情であり、教育委員会事務局もこの実情を認識していた。

 

3 判 断

  以上の調査結果をもとに、検討を行ったところ、次のとおり判断するに至った。

(1) 安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)について

 法は、職場における労働者の安全と健康を確保するため、第17条及び第18条において、一定の基準に該当する事業場については、事業者に対して安全委員会又は衛生委員会を設けることを義務付けている。また、規則第23条において、事業者に委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないと定めている。さらに、大阪市立学校園安全衛生委員会設置規程(以下「規程」という。)第1条は、教職員が50人以上の大阪市立の学校園に安全衛生委員会を設置することを定めている。また、教育委員会事務局教務部学校保健課(当時)が、平成17年5月に定めた「大阪市立学校園における教職員安全衛生管理体制について」(以下「通知」という。)によれば、大阪市独自の位置付けとして、教職員数が50人未満の学校においても、安全衛生委員会に準ずる機関を設けることとしており、それについても学期毎の開催を依頼しており、高等学校・養護教育諸学校(当時)については、便宜的に教職員数50人以上とみなして、安全衛生委員会を設置することを定めている。

 今回、各高校について調査を行ったところ、ほとんどの高校は、常時使用する労働者が50人以上であり、法第18条第1項、労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第9条に基づき少なくとも衛生委員会の設置義務が課せられているため、規則第23条の適用を受けることになり、また、規程第1条に基づいて、安全衛生委員会の設置も義務づけられている。しかし、この安全衛生委員会については、調査期間中法令の定める月1回以上の開催が行われた高校は存在せず、それどころか1度も開催していないという高校まで存在している。なお、単年度で1度も開催しなかった高校も全高校の実に1割強に及んでおり、違法な状態である。 

 また、規則第23条第3項及び第4項には委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を労働者に周知させなければならないこと、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを3年間保存しなければならないことが定められており、これが適切に実施されていなかったことについても違法である。

 

(2) 産業医による職場巡視について

 産業医は、①健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること、②健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること、③衛生教育に関すること、④労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関することなどを職務として(規則第14条第1項各号)、法第13条第1項に基づき医師から選任されるものであり、高校においても、大阪市教育委員会職員安全衛生管理規則第12条(当時)に基づき、大阪市教育委員会によって委嘱されている。そして、規則第15条第1項は、産業医に少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じることを義務付けている。大阪市教育委員会においても、産業医の職務内容は、通知(調査当時)及び大阪市立学校教職員安全衛生管理要綱(以下「要綱」という。)第11条により定めており、要綱第11条第3項で「校内を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあると認める時には、直ちに教職員の健康障害を防止するために必要な措置を講」じることを義務付けている。しかし、高校においては、調査期間中、毎月1回以上、法令の定める産業医による職場巡視が行われた高校は存在しないのみならず、1度も産業医による職場巡視が行われていないという高校が全体の半数を超えており、違法状態である。

 

(3) 産業医に対する報酬について

 規程第3条により産業医は委員会の委員とされ、委員会への出席義務がある。委員会の開催状況は前記(1)のとおりであるから、その構成員である産業医の委員会への出席状況も同様である。

 産業医に対する報酬は、委員会への出席、職場巡視、その他規則第14条第1項各号、要綱第11条に規定された業務の対価である。通知においても、安全衛生委員会の出席や健康障害の原因調査及び再発防止措置のための職場巡回・指導が、産業医の主な職務として定められている。委員会の開催等の状況が違法であり、職場巡視の状況も違法であるから産業医の委員会への出席、職場巡視が法、令、規則、規程等に反し、十全に履行されていないことは明らかである。ところが、今回の調査において、全高校で産業医に対して報酬が満額支払われていたことが判明している。この点、教育委員会事務局は職員向け健康講座や健康相談などを実施しており、産業医の協力を得た業務は委員会への出席や職場巡視以外にも存在していた旨を主張しているが、そもそも法令で義務づけられ、要綱第11条第3項でも定められている業務が十全に遂行されていないにもかかわらず、一部の業務が行われていたことをもって産業医としての職務が全うされたと認定することはできない。

 

(4) 作業環境測定について

 法第65条は、政令で定められたものについては、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録することを事業者に対して義務付けているが、高校については令第21条各号に定められた作業場には該当しないため、作業環境測定の義務はなく、違法・不適正とは言えない。

 

(5) 教育委員会事務局の対応について

 教育委員会事務局は、「市立学校園の安全衛生管理体制の整備」について、一定の注意喚起等を行っていることは認められるが、提出された活動状況の報告書等から、安全衛生委員会が適正に運用されていないことを認識しながらも、関係者の日程がなかなかとれず開催できないなどといった各校の実情に一定の理解を示して適正化を行っておらずその点、問題がないとは言えない。

 

(6) まとめ

 法、令及び規則は、先にも述べたように職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としており、これらに定められた義務を履行していないことは、法令違反であり、労働者に対する安全配慮義務を果たしていないことになる。

 また、各高校ともに産業医を選任しているにもかかわらず、その産業医が法、規則及び要綱によって義務付けられている業務の執行を十全に行っていなかったという現状については、直ちに改善する必要がある。また、そのような状態であるにもかかわらず、産業医に対する報酬が漫然と満額支払われていたことについては、容認することができない。

 

4 勧 告

  以上の判断に基づき、次のとおり勧告する。

(1) 各高校の校長は、法、令及び規則に定められた委員会の開催とその議事の概要の周知及び産業医による職場巡視等を各高校において直ちに実施させること。

(2) 教育長は、各高校の平成19年度以降における産業医への報酬について、法、規則及び要綱に基づいた業務がなされていたかどうか精査し、その実施の頻度等も勘案して、不当な支出がなされたと判断した部分については、相手先から自主的に返還させることを含め、市民の理解を得られるよう適切な措置を講じること。

(3) 教育長は、高校以外の大阪市立の学校園においても同様の事象が生じていないかについて、過去3年に遡って早急に調査を実施するとともに、不適当な事象が確認された場合には、上記⑴⑵に準じて取り扱うこと。

日経新聞 産業医、3年間巡視せずに報酬 大阪市立12高校(2011.07.27 14版)

 大阪市立の高校全22校のうち12校で2007~09年度、労働安全衛生法に基づく規則で定められている産業医による職場巡視が一度も実施されていなかったことが、弁護士らでつくる市公正職務審査委員会の調査で分かった。産業医には報酬が支払われており、同委員会は26日、報酬の自主返還を求めるなどの措置を取るよう市教育長に勧告した。

 規則では産業医が少なくとも月1回、職場の衛生状態などを巡視することを定めている。

 同委員会が通報を基に巡視の実態を調べたところ、12校は3年間で一度も実施されず、他の高校もいずれも月1回未満だった。医師への報酬(月額1万6800~2万8千円)は3年間で計約1950万円で、全額が支払われていた。

 勧告では、市立小中学校でも同様の実態があった可能性があるとして、調査するよう求めた。

Nikkei.com(2011.07.27 2:00)

2011年7月14日木曜日

全教 京都市教組超勤裁判で、最高裁不当判決(2011.07.12)

 最高裁は7月12日、「京都市教組超過勤務裁判」で、上告人(京都市)の敗訴部分を取り消した上で、被上告人(京都市立小・中学校教員)の控訴を棄却、第1審判決の取り消し、請求の棄却を言い渡す、不当な判決を示しました。これに対し主任代理人の村山晃弁護士は、「実情に離反した不当判決」と批判しました。


 この裁判では、2008年4月の京都地裁と2009年の大阪高裁において「教育行政の安全配慮義務違反」による一部慰謝料の支払い命じました。今回の最高裁判決では、月100時間前後の超過勤務について「校長の明示の命令がない」「教員が自主的に行ったもの」とし、また具体的な健康被害がないことを理由に、校長の安全配慮義務違反を認めませんでした。
 判決後の集会で、主任代理人の村山晃弁護士は「実情に離反した不当判決」と批判しました。
 しかし、この裁判のとりくみが実質的に行政を動かし、京都市をはじめ全国で「超勤縮減通達」を出させ、さらに出退勤管理を実施するなどの前進を作り出してきました。原告の教員からも「引き続き、生き生きした学校を取り戻すために、様々な立場から頑張りたい」と、力強く明るい発言がありました。

2011年7月11日月曜日

朝日新聞 空自衛隊員の自殺、8千万円の賠償命令 静岡地裁浜松支部

 航空自衛隊浜松基地(静岡県浜松市)の3等空曹の男性(当時29)が自殺したのは隊内のいじめが原因だったとして、遺族らが国と先輩隊員に約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、静岡地裁浜松支部であった。

 中野琢郎裁判長は、先輩隊員の行為を「指導目的」と認定したが、暴行などの違法性は重大として自殺との因果関係を認め、国に対し、死亡したことの逸失利益と慰謝料の計約8千万円の賠償を命じた。

 原告側弁護団によると、自衛官の自殺を巡る訴訟で、逸失利益を認めたのは初めて。

 訴訟で国側は、自殺は予見できなかったと主張していたが、判決は、自殺は先輩隊員の違法行為から生じ得ることだとして、国に賠償責任があると判断した。

 判決によると、男性は2005年11月、浜松市内の自宅アパートで首をつって自殺した。指導担当だった先輩隊員は工具で男性の頭を殴ったり、「反省文を100枚書くか辞表を出せ」などと強要したりした。

 判決を受け、岩崎茂航空幕僚長は「判決内容を慎重に検討し、適切に対処したい」とのコメントを出した。(滝沢隆史)
asahi.com(2011.07.11)

映画「田中さんはラジオ体操をしない」は拾い物だった

熱中症になりそうな大阪を脱出した。

避暑地ならぬ東京に向かった。関東も梅雨明けをした。かんかん照りの街を歩き回った。

1日目は恵比寿の東京都写真美術館に足を運んだ。写真展「1968プラハ侵攻」のカタログが売り切れるほどの人気。あの時、ラジオのニュースを聴いていた。涙を流しながら、旧ソ連の侵略に怒った。ソ連は希望の星のように憧れの対象だった。ソ連帝国主義の実態を知り、睡眠を妨害された。膨大な写真群を見て、「人間らしい社会主義」のために市民がそれぞれの闘い方をしていたのだ。旧ソ連は報道規制をかけて、ワルシャワ条約機構軍の侵略を正当化しようとした。写真群は今も鮮烈に日本人に訴えかけている。アメリカ合衆国の属国に甘んじているこの国の民に、沖縄県普天間基地問題・日米地位協定の改定問題・原発事故にみる日米問題の解決をどうするのかと問いかけている。

次の日はどうしようかと迷う。新宿南口のK’シネマに入る。期待もしていなかったが、イイ映画に巡り会えた。
「田中さんはラジオ体操をしない」はオーストラリアの女性監督のドキュメンタリー映画。田中哲朗さん。遠隔地への転勤命令を拒否した田中さんを会社は懲戒解雇した。20代だった私も彼の名前は覚えていた。そうか、彼は30年以上楽しく闘っているのか。会社が買収された労働組合に変身させられるのを、孤軍奮闘する(たくさんの支援者がいる)ドン・キホーテのようだ。思想差別やいじめに音楽で対抗し、頑固に楽しく本社工場の門前で訴える闘い方もあるのだなと勇気づけられる。

東京都の女性教員もそのサポーターの一人。「君が代」に起立斉唱しなかったので停職3ヶ月の処分を受ける。彼女も一人で処分反対闘争を校門前で始める。処分という脅しで教育介入しようとする大阪の小皇帝がいる。だんまりを決め込むのがいいか。声を大きく出すのがいいか。決断が迫られている。

最終日は暑さにダウン寸前。でも、神保町の岩波ホールに行く。年齢層は高い。大ファンの羽田澄子監督の映画。「遥かなるふるさと 旅順・大連」(1時間53分)。懐かしさで終わっていない。ちゃんと歴史の中に位置付けている。前半はツアーの一員の目で描いている。後半は羽田さんの育った家ー今は中国人の住人のものーを訪問する。懐かしい。日本人の一方的な視点であった。中国人の生活を知らずに、見ずに育ったことを振り返る。「楽しく、安定した」旅順・大連の思い出に留めてはいけないのだ。変わるものと変っていないもの。羽田さんの近隣も変った。一番古い家は羽田さんの家だけになった。

夏休みが近づいてきた。自主研修を存分に現職の先生にはしてほしい。現場での個別的な闘いが重要になってくる。管理職に説明をして、研修を認めてもらおう。また、管理職の教育観も語ってもらおう。上部団体に倚りかからずに、まず現場で、知恵を絞って工夫ある闘いを期待したい。

2011年7月1日金曜日

時間外労働の恒常化

大阪市内のある公立中学校職場で緊急職員集会(教職員を併せて職員という)があった。

校長の説明は次の通り。
3年の学年主任が6月下旬に緊急入院をした。脳血管の手術のため。脳梗塞ではない。しばらく入院加療が必要なので、担任交代をしなければならない。副担任が年度末まで担任の業務をする。生徒には病名等の詳しい説明はしない。

その学年主任は部活の顧問をしている。積極的な姿勢で学年運営も部活指導もしていた。校長もその働きを評価していた。土・日も部活指導で出勤していた。時間外労働も休日労働もしていた。また、振替休日も取っていなかった。

昨年度の5月から、ICカードによる時間管理がされている。しかし、時間外労働に管理職は歯止めの役割を果たさない。「17:00になったので、お帰りください」と命令はしない。教員から必ず反発が返ってくるから。教員の権利は先輩たちの闘いの成果だ。今はその遺産を食っている。教員の権利があるなら、管理職の義務があるはず。その義務を果たしている管理職は少ないだろう。
休日労働ー例えば部活指導ーの管理はICカードに記録されない。読み取り機は職員室内にある職場が多い。ロックされていたら、翌日に特殊業務手当簿に記入する。記入を忘れたら、本人の責任になる。

使用者責任を感じている管理職かどうか、先ず問われている。この管理職は昨年度、事務職員と管理作業員との間で36協定を結んだ。代表者を決める時に、不当労働行為と取られる行為をした。

2011年6月30日木曜日

しんぶん赤旗 部活を公務認定 元教員が全面勝訴 名古屋地裁(2011.6.30 B版)

 愛知県の元豊橋市立石巻中学校教員の鳥居建仁さん(51)が、学校祭のさなかに脳内出血で倒れ高次脳機能障害になったのは公務災害だとして、地方公務員災害補償基金の公務外処分の取り消しを求めた裁判で、名古屋地裁(田近年則裁判長)は29日、鳥居さんの訴えを全面的に認める判決を下しました。

 鳥居さんが発症したのは2002年9月13日。直前1カ月間の残業時間は約122時間で、朝練や部活指導後の教材研究、学校祭の準備などの激務が続いていました。基金は、職務命令以外の労働時間をカウントせず、発症の原因は脳内血管の持病の自然的経過だと主張しました。

 判決は、教育労働の特性から部活動などの自発的な活動についても包括的な職務命令とし、仕事と発症との因果関係を認めました。過重な時間外労働が長期間にわたって継続していたと認定し、持病があってもなくても、こうした過酷な労働を続ければ発症しうるとの判断を示しました。

 鳥居さんは裁判後、喜びの涙で声を詰まらせながら支援者に感謝し「自分が頑張ってきたことが否定されず、認められたことがうれしい」と述べました。

 小林修弁護士ら弁護団は「教育現場の実態を良く理解した判決だ」「多くの教育現場で、部活動指導などがボランティアとして扱われているなかで、この判決は全国に大きな影響を与えるものだ」と述べました。

 この後、鳥居さんと支援者らは基金愛知県支部を訪れ、控訴しないよう要請しました。
jcp.or.jp(2011.06.30)

2011年6月22日水曜日

朝日新聞 「つくる会」歴史教科書が年表丸写し 市民団体が指摘(2011.06.14 朝刊)

 市民団体「子どもと教科書全国ネット21」(事務局・東京)は13日、横浜市で記者会見を開き、「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された自由社の中学歴史教科書2012年版の年表が、東京書籍の02年版教科書とほぼ一致していると発表した。

 同ネットによると、両教科書の年表の「日本のおもなできごと」で、「縄文時代 採集や狩りによって生活する」から「1997 アイヌ文化振興法制定」までの約180項目すべてで出来事の選択が一致した。

 9項目で「大和国家」「太平洋戦争」(東京書籍)と「大和朝廷」「大東亜戦争(太平洋戦争)」(自由社)などの違いがあった以外は表現も一致していた。

 横浜市内8区の市立中学校で自由社の10年版教科書が使われており、10年版もほぼ同様の状態だったことから、同ネットは今回、横浜市で発表したという。

 同ネットの俵義文事務局長は「丸写しで盗用した可能性が高い。他社が改良を重ねて築いた成果を勝手に使うことは大問題だ」と指摘。他にも同様のケースがないか調べているという。

 東京書籍は「初めて聞いた話で驚いている。事実関係を確認のうえ今後の対応を考えたい」としている。

 自由社版教科書の代表執筆者で「つくる会」会長の藤岡信勝さんは「指摘を受けるまで気づかなかった。年表作成の担当者は自由社を退社しており、経過を確かめようもないが、関係者に迷惑をかけ、深くおわびする。夏にこの教科書が採択された後、来春の使用開始までに充実した年表につくり直す」と話した。
Asahi.com(2011.06.13)

毎日新聞 大阪維新の会:中学歴史教科書「自由社、育鵬社使用を」(2011.06.22 朝刊 市内 14版)

首長政党「大阪維新の会」大阪市議団が、中学生の歴史教科書として、記述内容で賛否両論がある自由社や育鵬社の教科書を使うよう求める方針であることが21日分かった。教科書採択に関する意見書や決議文を、早ければ9月定例市議会に提出する方針。中学校の教科書は来年度に4年に1回の更新を迎えるが、市教委の選考に影響を与える可能性もある。

 自由社は、自国中心の歴史観を反映した教科書づくりで内外の反発を招いてきた「新しい歴史教科書をつくる会」と連携して教科書を発行。育鵬社は扶桑社の子会社で、両社とも教科書検定で合格している。

 市議団幹部は「日本の歴史をしっかり書いている教科書を選んでほしい」と話している。【小林慎】
Mainichi.jp(2011.06.22)

2011年度は中学校教科書採択の年に当たります。「新しい歴史教科書をつくる会」=つくる会が仲間割れし、日本教育再生機構=教科書改善の会は育鵬社から教科書を発行。つくる会は自由社から教科書を発行します。歴史でこれらの教科書が使われたら今の小学校3年生から6年生まで、公民は5年生から中学2年生までの子どもに影響があります。

子どもと教科書全国ネット21がパンフレット「子どもに渡せない育鵬社版 自由社版教科書」を作っています。そのパンフレットの見出しを列挙します。

アジア太平洋戦争を美化する教科書。
侵略の歴史を偽り、アジアの人々との友好に背を向ける。
社会の主人公は民衆ではなく天皇だと教える。
国民より「天皇」と「国家」を優先する教科書。
原発を礼賛し、危険性にほとんど触れない。
女性差別を取り上げない教科書。
子どもや若者の苦悩に目を向けない。
狙いは憲法「改正」と徴兵制。

横浜市や東京都杉並区で成功した方法を大阪でもと狙っています。首長政党「大阪維新の会」の動きは危険です。公約していなかったことでも数の力でゴリ押しをした政党ですから。首長→教育委員の投票によって教科書採択させる手法です。

教科書展示会で実物の教科書を手にとってみてください。

毎日新聞 広島・君が代不起立:最高裁が合憲判決 4度目判断(2011.06.22 東京朝刊)

 入学式などで君が代斉唱時に起立しなかったとして戒告処分を受けた広島県立高校の教職員と遺族ら45人が、県教委に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は21日、「起立命令は合憲」と判断した。教職員側敗訴の1、2審判決が確定した。同種訴訟で最高裁の合憲判断は4度目。

 過去3度の判決は都立学校での「起立・斉唱命令」が争点になったが、今回は多くの原告が起立命令しか受けておらず、争点は起立命令の違憲性になった。

 判決は「(思想・良心の自由の)間接的制約となる面があることは否定しがたい」としながら、職務の公共性などから制約が許される必要性や合理性がある、と判断。ただ、斉唱まで命じられた原告については田原睦夫裁判官(弁護士出身)が「内心の核心部分を侵害する可能性がある」との反対意見を述べた。

 判決後、原告側弁護士は「最高裁は君が代の強制が学校現場を荒廃させていることを理解すべきだった」と話した。【伊藤一郎】

Mainichi.Jp(2011.06.22)

朝日新聞 助っ人先生 優しくケア(2011.05.25 朝刊 教育1 13版)

宮城、緊急学校支援員を配置
宮城県教委が、被害の大きかった地域の公立学校で子どもの「心のケア」や学校再開の助けになる人材として募集した。退職した校長や教職員計44人(20日現在)が、7月ごろまで臨時職員として働く。県独自の制度で、費用の7600万円は県が負担するが、県は国に補助を求めている。
Asahi.com(2011.06.25)

朝日新聞の朝刊(2011.06.08 10版)の「私の視点」に東京都品川区立大崎中学校長の浅田和伸氏が投稿されている。見出しには「被災地の教育支援 全国の退職教員 結集して」とある。

氏の文章から引用する。「持続的な支援のためには、退職教員の力を活用しない手はない」と提案されている。その提案に賛同する。「教育委員会や文部科学省がうまく調整し、被災地のニーズとすり合わせて派遣する」「国が主導して(中略)教科指導や学級担任などの仕事にも大いに活用すればよい」こういう被災地支援を県に任せず、国が費用の補助をして実現することを願う。

2011年6月21日火曜日

朝日新聞 職場のホ・ン・ネ 教師の数増やして(2011.6.10 朝刊 13版)

小学校の新しい学習指導要領が4月から施行されました。ほとんどの学年で6時間目まで授業があります。教室を片づけて職員室に戻ると午後4時。勤務時間は、午後4時45分までです。

こういう状態では次の日の授業の教材研究が十分にできません。成績をつける時期には、どう考えても45分で仕事が終わりません。給料の4%の調整手当があり、残業手当はつきません。

このままでは優秀な教師は離れていきます。早番や遅番を作るなど教師の数を増やしてほしいと切実に思います。
(兵庫県 50代女性 教員)
Asahi.com(2011.06.10)

2011年6月18日土曜日

毎日新聞 東日本大震災: 日本国憲法草案参画のベアテさん、米国から被災お見舞いメール/宮城 (2011.6.18)

 ◇GHQで日本国憲法草案に参画 ベアテさんが友人に
 日本国憲法の男女平等条項などの草案を作った米国ニューヨーク(NY)在住のベアテ・シロタ・ゴードンさん(87)が、友人の仙台市泉区の主婦、但木和子さんら3人に東日本大震災を見舞うメッセージを電子メールで寄せた。ベアテさんにとって日本は少女時代を過ごした心の母国。メールでは、困難に立ち向かう日本人の勇気をたたえるとともに原子力に代わる新エネルギーの必要性を訴えた。

 メッセージを受け取ったのは、但木さんのほかに、高校時代の恩師の永澤汪恭(ひろやす)さん(69)=太白区、焼版師の瀬川満夫さん(78)=青葉区。永澤さんと瀬川さんは平和活動に関わり、仙台に講演に来たベアテさんと十数年来の知り合い。但木さんは06年3月、瀬川さん考案の「九条せんべい」をNYのベアテさんに届け親しくなった。

 3人は大震災後、「ベアテさんは日本を心配しているはず。私たち3人の無事を伝えよう」と考えが一致し、但木さんが3月25日に英文メールを送った。すると同27日に返信メールがあった。その後4月18日と5月8日にもメールが届いた。

 メールの内容を総合すると、3人の無事を喜び、「大地震と津波、原発事故に立ち向かう勇気と献身は称賛に値する」「日本人は世界の平和と安全の運動のリーダーになるべきだ」「太陽光発電など(人間や環境に)ダメージを与えないエネルギーを追求しなければならない」と、反核・平和主義の素顔を見せる。

 ベアテさんはユダヤ系でウィーン生まれ。5歳で両親と日本に移り15歳まで過ごした。その後、米国に留学し米国籍を取得。太平洋戦争後の日本に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局の一員として来日し、男女平等について憲法草案の作成に深く関わった。憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」はその表れと90年代に判明し反響を呼んだ。日本では映画「ベアテの贈り物」(日本映画新社)が作られ05年に公開された。

 但木さんらは「ベアテさんの日本を思う気持ちを東北の人たちに少しずつ伝えていきたい」と話している。【小原博人】
Mainichi.com. 2011/06/17

♬日経新聞 教科書調査員の名簿開示命令 横浜地裁(2011.06.18)

 横浜市立小学校などの教科書採択をめぐり、事前に各社の教科書を調査した調査員の名簿を同市教育委員会が採択後も非開示としたのは違法として「かながわ市民オンブズマン」メンバーの女性が開示を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は15日、非開示決定を取り消し、開示を命じた。

 市教委は非開示理由を「教科書会社や研究者などからさまざまな働き掛けが行われ、公正な事務が阻害される」と主張したが、佐村裁判長は「採択結果を事後に検証する目的の働き掛けは、説明責任として調査員が受忍すべき範囲のもの」と述べた。

 市教委によると、調査員は教員らから任命し、採択前に各社の教科書を調査研究し、市教科書取扱審議会に報告する。2009年度まで採択後に調査員名簿を開示していたが、10年度から非開示とした。

 判決によると、女性は市教委が11年度に使用する教科書を採択した後の10年9月、調査員名簿の情報公開を求めた。

〔共同〕
Nikkei.com(2011.06.15)

2011年5月7日土曜日

わが亡きあとに洪水来たれ

連休の5月2日から5日までの5日間、震災ボランティアに携わった。

時系列で書いていく。

5月2日。勤務のある妻と東京駅近くのホテルで落ち合うことになった。東京駅周辺は夜になると、街が暗い。眼がおかしいのでは疑った。節電をしているのだった。3日から宮城県石巻市に入るので、早目に就寝した。

5月3日。6時台の東北新幹線で仙台駅に着く。車窓から公園がガレキ置き場が変わっていたり、屋根にブルーシートで覆っている民家が見える。仙台駅も被害を受け、建物全体がシートが覆っている。東北一の大都会だけに商店街の人通りも多い。
東北本線で松島駅に到着する。列車は津波被害を受けた区間を徐行運転した。

松島は観光地として、復活の途中だ。観光船に乗る観光客も多い。瑞巌寺にも津波が押し寄せたが、被害は少ない。観光客の一人になった。
駅前からバスで渡波地区に向かう。津波がくるとは思っていなかったとは地域の人は言う。津波が流したものは、田んぼの自動車、漁網などさまざま。藁が水分を含んで、道路を覆っている。道路ををクルマが通れるように、スコップや熊手を使ってゴミ袋に入れる作業。リヤカーが活躍した。パンクをしていたが。地区の人に感謝をされた。うれしかった。地盤沈下で大潮になると、水が上がってくる。田んぼで米作ができるのは何時の日だろう。

5月4日。避難所になっている石巻中学校から、山下中学校の体育館に引越しされる被災者の荷物の搬入などのお手伝い。9日から授業が始まる石巻中学校には、別の中学校が移転。被災者は内心はもう引越しはゴメンと推量する。でも、子どものためなら仕方ないと避難所移転を受け入れたのだろう。体育館には97ブースに段ボールで仕切られていた。独居者は小さいスペース。間口は両手を広げたくらい、奥行きは両手プラス10cmくらい。すぐに横たわる人もいた。重たい荷物、軽い荷物、小さい荷物。そのさまざまに生活の重みがある。

別のグループは過酷な作業をしていた。津波被害で冷凍機能を損失した魚倉庫の処理作業。1カ月間、冷凍庫の扉は開けられなかった。内部を乾燥させるためだそうだ。開けた。魚の腐敗臭。ヘドロの臭い。アンモニア臭。眼がしみる。防塵マスクもしているが、鼻が曲がりそうな臭い。内部の清掃。昼食後、気分が悪くなり嘔吐した人も出た。臭いは衣服に染み付く。ホテルで夜食を食べていると、ホテルの従業員が衣服をクリーニングさせてもらうので、着替えをと頼まれたという、笑うに笑えない話も。

日和山公園から市内を遠望する。重機の音が聞こえている。石ノ森萬画館が見える。UFOが降り立ったような建物。昨日
妻が周辺のガラスの破片を片付けていた所だ。5日の子どもの日に、1日限定のオープンに間に合わせるための作業だった。
八重桜が咲いている。寒い季節にサクラは悲しく咲いている。

5月5日。12時までの活動。石巻中央商店街の陶器店での活動。創業102年を迎えた今年に「100年記念のお祝い」を考えていた矢先の地震・津波で、店内の陶器は割れたり、汚れたりした。床はすでにボランティアによって洗われていた。お皿、花瓶、茶碗などを泥を落とす。感謝されたが、女主人にかけるコトバが見つからなかった。跡継ぎは多職に就いている。店は閉店しかないかと肩を落とす。それ以上聴いていると、もっと暗い現実を眼にするとあきらめた。被災者にはその数だけの悲しみがある。

石巻市を後にして、松島駅経由で仙台駅についた。日常がそこにはあった。混雑する東北新幹線。東京駅は雑踏の中にたっていた。17時間が経った。東日本大震災のボランティアはこれからが勝負だ。人員不足が人災を最大化しないように。

タイトルは「あとは野となれ山となれ」の意味。日本という國が、誰も責任を取らず、国民にツケを払わせてきたシステムだということを知らせてくれた。

「子どもを守るため、自分を捨てて頑張り過ぎることのないよう」(森茂起甲南大教授)教員にも心のケアが求められる。

2011年4月23日土曜日

なぜすぐに裏山に避難しなかったのか

宮城県石巻市立大川小学校の惨事についての報道。(毎日新聞4月19日付の朝刊)

                            ※

避難所なっている大川小学校への津波到達を石巻市は想定していなかった。

校長の証言。 「堤防を越える津波が来たらもたないので、山に避難場所をつくろうと職員で話はしていた。裏山は泥炭地でつるつる足が滑るので、階段をつくれるといいなと話していたが、そのまま震災になった」

校舎に残る三つの時計は、いずれも3時37分を指し止まっている。
地震から津波到達まで、恐らく40~50分あった

9日の保護者への説明会。

校庭で点呼を取るなどした対応に「なんですぐに逃げろって言わなかったのか」と非難の声。

先生を擁護する声。
108人誰も欠けないように点呼し、先生はよくやってくれた。誰が悪いと思ったことはない」

                            ※

石巻市立大川小学校のホームページを厳粛な気持ちで見る。あまりにも美しく、楽しい学び舎であっただけに痛々しさは募る。

大川小学校の職員構成は、校長、教頭、教諭9名と事務職員(主事)1名、用務員1名。
9名が死亡。行方不明の方が1名。助かった教諭は1名だけ。
教職員と児童の心の傷は深いだろう。

保護者などから感謝されるととてもうれしい。それが教師などの生きがいになる。しかし、非難の対象になると、とても落ち込む。

危機対応能力を常に磨くことがこれから特に求められる。
1.現場は前もって明確な役割分担を決めておく。マニュアルは、その時に活きるものでなければならない。
2.現場臨機応変対応・判断する。現場外の上司の判断を求めていては、判断の遅れにつな  がる。
3.逃げ道(退路)の確認。

しかし、自然の猛威の前には人間はなんと弱い存在か。
津波てんでんこ」しか、生きる術はないのか。
大阪市も他人事ではない。敦賀の原発銀座から80㎞しか離れていない。津波が来たら、防潮堤も役に立たないかもしれない。避難所になる学校の玄関の鍵が掛かっていたら、避難所の役目を果たさない。東日本大震災から教訓をくみ取れるか。

2011年4月10日日曜日

先生たちの心のケア

東日本大震災と福島原発荷重事故。
あまりにも酷い事態に私の心も混乱している。

2度目の退職で、私の生活も変化している。
ボランティアや大学の聴講生として、1週間の何日間は潰れる。健康保険も同居人の被扶養者になった。年金生活者として、収入を見ながら支出をしている。午前中は3紙の新聞切り抜きをして、ファイルに整理する。
変わらないのは、眼科、神経科、耳鼻咽喉科に通院することだ。教員の労働時間調査は続いている。親の介護も気になる。

阪神淡路大震災のささやかな経験から、「先を読む」ことを心掛けている。
まず、学校の先生方の心のケアが気になっている。自ら被災しながらも、被災者や子どもたちに寄り添い、疲れていく先生たちを心配する。「先生たちの心のケアチーム」が、いま求められていると思う。休息しないと、疲労は解消しない。たまに職場から完全に離れることもいいだろう。

岩手県釜石市の釜石医師会が、心のケアについての文書を避難所になっている病院に掲示している。

被災者の心のケア
主な症状がーイライラする▽不眠▽食欲不振▽ちょっとしたことで驚く▽何もする気になれない▽外出できない▽自分を責めて
しまう

回復のためにーできるだけ休養、睡眠を取る▽気分転換を心がける▽信頼できる人や安心できる人に気持ちを聞いてもらう▽涙が出ることは自然なことで、心の回復につながる

家族らができることーつらかったことが語られたり、泣き出したりすることがあっても、否定せずにそのまま聞いてあげる▽無理に聞き出すのは逆効果▽回復のスピードは個人差があり、本人のペースを見守ってあげる

マスメディアも学校を記事にするようになっている。
行政は、先生たちの精神状態について、先生たちの働き方について支援をすることが求められている。早急に、被災地の教員数を増やすことが大切ではないか。全国的なレベルで退職した教員の活用も考慮してもいいのではと考える。これからが正念場である。

将来の主権者(児童・生徒)を育てる教師は、人間的でなければならない。なぜなら、非人間的な働き方をする教師には、子どもを人間的にすることはできないからだ。

2011年4月9日土曜日

三現主義と宮城県教育委員会の姿勢

宮城県教組中央支部のブログ(現場日記)を見ていて、思ったことを書く。

教育評論家の尾木直樹(尾木ママ)が、金スマで宮城県教委の人事異動を批判した。それに宮城県教育委員会が反論をした。その経過をブログは掲載している。

役人の思考回路とその無責任さを感じる。天災の恐ろしさを私たちは知った。その被害を私たちの英知で最小限にできると信じる。教育現場で奮闘する教職員を励ますのが、県教委の責任のとり方ではないかと思う。批判に頑なな姿勢を見せ、責任を回避する官僚の姿を見る。

突然に「三現主義」なる言葉が浮かんだ。そうだ。県教委の幹部(会社でいえば経営者)頭脳の中に、この言葉が存在するのだろうかと。

ホンダとかトヨタ自動車で実践されているもの。民間職場では常識。経営学の用語である。

「現場」「現物」「現実」の3つを重視し、机上の空論を排して問題解決を図る考え方をいう。実際に現場を観たのか。現実を認識したのか。そのうえで問題を解決したのか。はなはだ疑問に感じる。教職員の働き方を受動的なものから能動的なものに変えて、職場を活性化させる。それには経営者(県教委幹部)に思考を変えねばならない。

「自分の目で確かめ」「自分の耳で聴き」「自分の肌で感じ」「自分で考え」て、判断を下したのであろうか。

自らの面子を捨て、あるべき危機管理を県教委幹部に求めたい。

2011年4月4日月曜日

学校でのセクハラ

「学校セクハラ」という言葉と現実が一致したのは、今から14年前だった。

それは、私が13年間在籍した学校で起きたことだった。赴任の1年前に起きた。男性の体育教師が女生徒にセクハラを働いた。

その教師は、同僚の女教師にセクハラをした前歴があった。だから、女教師あるいは職場の人たちは危惧していた。

校長は毅然たる姿勢を示さなかった。また、その当時、「セクハラ」の及ぼす影響の重大さをあまり認識されていなかった。

どんな影響を与えるか。
被害者の心身に支障を及ぼし、学校という組織に重大な影響を与える問題である。
被害者の名誉や個人の尊厳を傷つける人権侵害である。
職場の人間関係を悪化させ、教育活動を妨げる。
「セクハラ」を起こした学校というダメージを与える。

「天網恢恢疎にして漏らさず」  教育委員会はその教師を転勤させ、問題を収束させようとした。今なら懲戒免職になる行為だ。

職場は、その後遺症を引きずっていた。翌年、私はその学校に転勤してきた。苦情処理を出したが、内示は返らなかった。人間関係が難しい職場と聞いていたからだ。

その体育教師は、校内に派閥を作っていた。その派閥は、女性教師を敵対視していた。誰がセクハラを垂れこんだのかと探索していた。職員室には嫌な雰囲気が漂っていた。
私の所属した学年は、道徳の時間に「セクハラ」についての授業を率先してすることで一致していた。男性教師からは、「子どもが授業する男性教師をどう見るかな」と不安視する声もあった。

加害者は転勤した先でも問題を起こした。そして、その次に転勤した先では、PTAから不安の声が上がる。生徒が被害者にならないかと管理職に相談をしたと聞いている。プール指導で被害を受けないかと保護者は心配した。ついに加害者は退職することになる。彼は人生そのものを自ら破壊した。

今では、セクハラを受けた時は、相手に対して「セクハラ」だと伝える。あるいは管理職や相談機関に相談する。外部の相談機関は、大阪であれば大阪労働局雇用均等室などがある。

セクハラとは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に起因するハラスメントだといわれている。1970年代初期に、「Ms」(アメリカの女性雑誌)の編集主幹のグロリア・スタイネムらが作った言葉。1986年、アメリカ合衆国最高裁判所が「セクハラ行為は人権法に違反する性差別である」と判決で認めた。

セクハラとは、
職場において、他の人(職員以外も含む)を不快にさせる性的な言動であり、職場外において、職員が他の職員を不快にさせる性的な言動をいうことになる。受け手や周囲の人が不快と感じれば、すべて「不快な言動」になる。

ある中学校の校長が、ある女性教師に「ゴルフに行かないか」と誘った。しつこく誘ったかはわからない。誘われたことをその女性教師は周囲に相談した。校長からゴルフに誘われたかと女性教師が調査した。誰もいない、一人を除いて。ゴルフに行ったかどうかは不明。

セクハラとパワハラの境界にある行為だと思う。この管理職は、相手を仕事上の対等なパートナーと見ていない、性的な言動の受け止め方についての個人差を認識していない、学校長の優越な地位を不当に利用していると言わざるをえない。

その校長は、組織管理、雇用管理、男女共同参画への理解が足らないリーダーといえる。その責任は、その人物を校長にした教育委員会にもある。

2011年4月3日日曜日

青年教師の退職

ある女性教師が年度末に退職した。2年間の教職経験で職場から去った。

3月23日に管理職に退職を申し出た。そして、管理職は翌日にそのことを全教職員に発表した。

なぜ活躍を期待されていた彼女が退職したのか。類推するしかない。外部からの電話の応対もテキパキとこなしていたのに。
その学年はずっと荒れていた。警察を校内に導入しても、問題生徒の徘徊や暴力の広がりを抑えることはできなかった。対教師暴力も次々に発生した。被害届を出さない。学校教育の範疇でないのに、抱え込んでしまった。だから歯止めがきかない。

彼女は教育系大学を卒業した年に採用された。優れた人材と職場でも期待していた。社会人として、青年教師としても将来が楽しみな人柄であった。彼女のココロの中には、ひょっとすると「学校不信」が募っていたのではないか。「学校不信」は同僚・管理職への不信とイコールではなかったか。

その管理職(校長)は、生活指導あがりの人ではない。ひ弱な感じを抱かせるタイプ。「国語教師」という言葉からイメージされるタイプ。

リーダーシップのタイプでいえば、pm型に属する。Pはパパ(厳格さ)をイメージする。Mはママ(温かさ)を指す。ラージとかスモールがあり、4類型に分かれる。PM型。pM型。Pm型。pm型。

リーダーシップを発揮する地位になってはいけない人物が校長になったのだ。校長は在職2年を終えた。今年度も校長に留まっている。校長の姿勢が職場に与える影響は大きい。この職場は5年前から荒れの状態が続いている。ストレスフルな職場だ。組織が教育実践上の問題を吸収できないままに時間が過ぎて行った。

職場の荒れから来るストレス状態を家人は心配であったろう。家人のアドバイスがあったのかもしれない。

退職の弁で彼女は、「美術の勉強をしたいので退職します」と教職員に挨拶をした。その言葉をその職場の人びとはどう聴いたか?

2011年3月27日日曜日

ブラック企業と娘

ボランティアを退職前から続けている。そこで就職した学生の話を紹介する。
就職したのは、チェーン店を日本全国に展開する企業。「そこはブラック企業なんですよ。他にも新聞の広告でよく目にする◯◯商会もそうなんですよ」と、その学生は言う。受動的なひどい働き方をされないように祈るばかりだ。


「ブラック企業」とはなにか。関西大学の森岡孝二教授の著作から引用する。
◯社員規模に比して採用人数が異常に多く、離職率が目立って高い企業。
◯露骨な性差別があり、女性社員の平均勤続年数がかなり短い企業。
◯基本給+残業代を「初任給」とし、長時間残業を給与体系に組み込んでいる企業。
◯過労死、サービス残業、セクハラ、パワハラなどが問題になった企業。
◯「△年後には独立可能」「入社即店長」「△年後には年収△百万円」などの「夢」をやたらと売り物にする企業。
◯社長がワンマンないしカリスマで、やたらと従業員のやる気を鼓舞する企業。
◯労働条件があまりに劣悪で、ネット上でしばしばたたかれている企業。
以上の「指標」を挙げている。「就活とブラック企業ー現代の若者の働き方事情」(森岡孝二編 岩波書店 2011年)

先ほどの学生の話を続けよう。
☆社長のブログに必ずアクセスしなければならない。毎日である。接続料として2000円を徴収される。たわいない内容のブログを読まされると嘆いていた。
★盲導犬に募金をする。強制ではないと断るが、半強制的に2000円が徴収される。給与から引かれる。


私事になるが、娘が13日に結婚した。ハワイで挙式をした。いわゆる国際結婚。ハワイで就活をするという。共稼ぎをする。幸多かれと願っている。
彼女は語学留学をして、大学に5年間在籍した。就活をして、内定を何社からもらった。保険会社と情報企業の2社に絞った。そして、ある情報企業に入社した。六本木ヒルズにある本社に配属された。営業所に配属になる。1年間彼女なりに辛抱したが、退職した。理由は長時間残業、パワハラ、セクハラ、飛び込み営業。
私は、彼女の就活中から危惧していた。なぜか。その企業は大阪発祥の企業。立志伝中の創業者が「大阪◯◯社」を立ち上げ、乱暴な営業政策で業界に位置を占めた。そして、2代目社長がスマートに東京へ進出した。ヒルズ族だ。華やかなビルの外見とは裏腹に、社員を劣悪な労働条件に置いているのではないかと。会社のDNAが社員に受動的な働き方を強いていると直感したからだ。会社四季報を読んだりした。直感が当たった。そこはブラック企業だった。
彼女は大阪の我が家に戻った。向日的な性格の彼女はまた就活を始めた。アルバイトで、旅行会社やソフト制作のベンチャー企業に勤めた。労働の喜び厳しさを楽しんでいるように思われた。今はSkypeでビデオ電話をしている。


4月から若者たちが働き始める。私の職場にも4名の新採用教員が配属される。ブラック企業のような受動的な働き方をされないように望む。教育活動に励んで欲しい。しかし過度の労働負担でココロや身体を壊すことも望まない。彼らの下支えができたらと大阪のオッサンは志を抱いている。

2011年3月25日金曜日

阪神淡路大震災で被災、転校してきた生徒の作文

公休日であったが、年度末の仕事の整理のために出勤した。
今年度末に退職される先生が机の整理中に、かつて教えた生徒の作文を見せてくれた。その作文を読んで、私も体験した大地震の記憶が蘇った。

その作文を書いた生徒は女生徒で、2年生に転入してきた。そして、その同僚は、1月17日が近づくと、教室でこの作文を読んできたと振り返った。
題名は「阪神大震災で学んだ事、感じたこと」。

原文通りに掲載する。


1月17日午前5時46分に、震度7の地震があり、その約20秒の間に、今まで当たり前のように見てきた風景が、信じられない風景に変わってしまった。私は、その本震があった時ベッドに寝ていました。突然、"ゴゴゴゴ"という音とともに下からつき上げる様なゆれがあって、お母さんが大声を出して飛び起き、私と弟の体をかばう様に押さえた次の瞬間べッドごと激しく横にゆさぶられた。その時は、一体何があったのか解からずに、真っ暗な中動く事もできず、ただ怖くて足の震えが止まらなかった。
外が騒がしくなり、「助けて!助けて!」という悲鳴が聞こえた。お母さんが、隣の家がつぶれているから助けに行って来ると言って、マンションから飛び出て行った。私と弟はベッドにじっとしていた。

夜が明けてきて、部屋を見るとテレビが、ベッドの上に落ちていた。ふすまが外れていた。弟がペンライトをどこからか出して来て、明りをつけてみると、本棚や食器棚が倒れ、食器は殆ど割れ、台所用品も扉から出て、足のふみ場もないほどになっていた。それから外でサイレンが聞こえだして、やっと外を見ると、木造の家がぺしゃんこになっていたのにすごく驚いた。ガスの臭いもしていた。窓から見える景色は、電車がこけていたり、高速道路の高脚がぐにゃりと曲がっていた。近所は瓦が落ちていて、屋根がぼこぼこへこんでいて、道路は木やブロックばかりだった。通っていた学校にも二千人の被災者でいっぱいになった。家から長田の火災の煙が空一杯に広がっているのが見えた。空にはヘリコプターが何機も飛んでいた。夜はパンとお菓子を食べてろうそくの灯りですごした。

その次の日の夜8時から車で大正区に着いたのが、朝の6時で10時間以上かかった。車の外は、今にもくずれて来そうな建物ばかりで余震が来ると思ったら、ものすごく怖かった。安全な場所がどこにも無かった。

大正区に着いた時町に電気がついていて、バスや電車が走っていて、普通であまりの差に驚いた。おじさんの家に着いて、初めてテレビ報道を見た。しばらくして、やっと東灘のいとこから連絡があり、そのおじさんが亡くなった。弟と毎日遊んでいた友達が、2人も亡くなった。どうしてこんなひどい事になったんだろうと思ってしかたがなかった。

今でも信じられないけど、やっぱり現実で、水もガスもまだ出ない。神戸に帰れば、大阪では考えられない様な不便な生活が始まる。楽しみにしていた部活での三年生を送る会、卒業式の演奏も無くなってしまったし、それ以後の神戸祭り、コンクール等の行事もまともにやれそうにない。だけど、帰りたい。帰ってまた、あの学校で勉強したりいろんな事をしたい。バラバラになってしまった友達とも、早く会いたい。家族と友達と町の人達と一緒に、負けずに元気にがんばって生きたい。いくんだ。



改行だけをした。句読点の打ち方などの誤りも正さずに掲載した。
新聞やインターネットテレビを見て、ラジオを聴いて、東日本大震災で被災された方々に何もできない私自身に怒りを感じている。また、歯がゆい思いをしている。

鴨長明の「方丈記」の世界がグッと身近に迫ってきた。
いまはただ、「無常」を共有したいと思う。情けなく、不甲斐ない自らを責めている。

2011年3月19日土曜日

戸塚宏を笑えない

戸塚ヨットスクール事件を覚えている方は少なくなっただろう。
30年まえの事件だから仕方がないか。

1980年代、非行や登校拒否が社会問題になっていた。今も
そうだが。戸塚ヨットスクール(戸塚宏校長)が非行に走った
子どもや登校拒否生を引き受けて、激しい訓練や体罰で立ち直
らせた実践が注目された。わが子の教育に悩む保護者に一縷の
望みになっていた。
訓練生の死亡や行方不明事件をきっかけにマスコミから叩かれ、
世論の攻撃に反発する姿は「悪役」そのものであった。裁判闘
争に敗れ、彼は獄に下り、2006年に刑期を終えた。

世間によって彼は抹殺されたと思っていた。しかし、彼は校長と
して存在し、主張も変わっていなかった。体罰が人間を進歩させ
ると断言する。恥が子どもを進歩させる。独特の「教育」観を展開
する。論理が飛んだり、跳ねたりする。その論理を補強するの
が「現場」にいることだ。そして、日本の教育の破たんの責任を
日教組・文科省・親のしつけに押し付ける。

その顔は戸塚宏校長だとすぐにわかる。しかし、彼の表情には
以前と違うものが内在しているように感じる。マスコミ批判は
同じだが、こんな教育にしたものの責任を追及してほしいと、
教育から見放された者に代わって、現場で孤軍奮闘するドンキ
ホーテの呻きのようにうつる。

十三のマニアックな映画館(ほめ言葉である)第七藝術劇場
今日から封切の「平成ジレンマ」で、私は、時代と戦い悩みつ
づける戸塚宏に再会した。

映画の戸塚宏は寡黙であり、監督は彼にあまり喋らせていない。
東海テレビ制作のドキュメンタリー映画。ナレーター(中村獅童)
は誰が教育をどこに持って行こうとするのかと静かに言う。

今まで私は戸塚を全否定してきた。かれの体罰肯定を始めとす
る教育を否定はできない。教育を刷新するには、ヒトとモノが
少ない。引きこもり、ニートの問題に立ち向かう戸塚の表情に
は、教育者の悩みが浮かんでいた。

世間から見放された青年や子どもに寄り添う姿に、教育者に近
くなったかと感じる。しかし、彼が参加したティーチインのDVDを
見ると、日教組が悪い(日教組の影響力は弱くなった)とか儒教
で教育しろとか言動は聴衆に失笑を買っていた。独断的発言。
マスコミ批判の強さ。責任の欠如。世間へのふてぶてしい態度
は消えているが、論理は飛躍しており、恣意的な論理の展開が
ある。
そういう点を含めて、彼は批判される存在だけれど、私には彼を
一笑にふすことをためらう。

映画は、彼の現在を客観的に映すだけである。また、映画では
戸塚の発言は少ない。戸塚をどう解釈するかは各自に委ねられ
ている。

2011年3月16日水曜日

教育労働者と原発事故

テレビは見ていない。

欲しい情報を正確に迅速に提供していないのではないか
という疑問がずっとしている。

たくさんの情報が流されている。それに流されてはなら
ない。選択するにはアンテナの感度が研ぎ澄まされて
いなければならない。

放射線医学総合研究所のサイトを見て、基礎知識を
身につけることが基本と考えた。かつてのABCCでは
あるが。広島の被爆者を治療せず、実験材料として
扱った所ではあるが。

意外に充実していたのが、ストップ浜岡原発のサイト

子どもたちに安全で豊かな日本とその明るい将来を
保障するためにも、私たち教育労働者は、自ら考え、
自らの意見を持たなければならない。

東日本関東大震災で奮闘する教職員

Don’t give up!
We don’t give up.

東日本関東大震災で被災された方々ならびに東京電力福島原発の原発事故
で不安を抱いている皆さんにお見舞を申し上げます。また、亡くなられた
方々のご冥福を祈ります。

近畿地方に住む私たちも、若狭湾の原発銀座にいつも不安を抱いています。
私にできることは何か。微力ですが、私にできることを最大限します。

地震発生・津波襲来時は学校現場では課業中ではなかったかなと思います。
学校は避難所で生徒も在校されていたと推測されます。恐ろしかったでしょう。

阪神淡路大震災でも、学校の教職員が不眠不休の働きをしました。
生徒の安全・健康を守りつつ、被災者のお世話をしていました。
被災者から感謝をされました。

マスコミ報道では教職員の活動を見聞することは少ない。
青森・岩手・宮城福島・茨城・千葉のなかまたちはギブアップしていないだろう。

しかし、個々人の努力にも限界がある。国はリーダーシップを発揮して、支援物資
を被災地に、支援ルートを確立して、優先的に回してほしい。
この原発事故に関して、国・東京電力は正確で迅速な情報を、不安を抱く方たちに
丁寧に提供してほしい。
また、放射能汚染に対するデータの開示を速やかにしてほしい。

もう一度繰り返します。正確な情報を早く届けてほしい。情報を隠したり、事故を
小さく見せたりしないでいただきたい。

大津波モクレンつぼみ硬くする

2011年3月11日午後2時46分、東日本関東大震災がおきた。

その日から16日までハワイへ行くことになっていた。娘の結婚式
列席のためだ。21時25分発のJAL機に乗ってホノルルに着く予
定だった。関空の飛行機は運航していた。

自宅を出るまでテレビを見つめていた。津波の凄さ。地震の怖さ。
そして、日本で一番古い原発―福島第1原発の1号機の危険度。
そういう日本のシステムが崩れようとする姿をまともに見るのに堪え
られなかった。

機上の人に妻と私はなった。しかし、日付変更線の手前で機長の
アナウンスが響いた。「当機はミッドウェー代替施設で給油ができ
ないため、またホノルル空港に津波来襲する予定にありますので、
羽田空港に引き返すことを決断しました。悪しからずご了ください。
羽田で給油をしたのち、関空にもどり入国をしていただきます。」
乗客は唖然となっただろう。

その日は自宅に帰る。テレビは次々津波の被害を報道する。
当然だが、福島第1原発の動きはあまり報道量が少ない。

結婚式に列席しなければならない。チケットを求めたが、どの飛行
機も満席でなかなか取れない。デルタ航空にエコノミー席1席だけ
あった。19万円。すぐに予約。しかし、もう1席がいる。あった。
ビジネスクラス1席あった。40万円。えーっつ!!そんなお金は
出す資力が私にはない。結局、妻だけが出発した。

3月12日午後9時台のデルタ航空で発ったと妻からメール。

自宅にインターネット放送を見る。地上波テレビでは原発事故
の詳細は分からないから、スイッチオフ。

東京在住の長男とその彼女にメールと電話で連絡をとる。連絡つかず。
何度かメールして、やっと長男からメールあり。でも、彼女(みどりちゃん)
と連絡つかず。彼も心配している。

心配。先週に東京に行き、4人で散策をして、楽しい時間を過ごしたばかり。
12日は長男は職場である特養ホームに泊まった。電車が運休していた。
みどりちゃんは自宅から2駅目なので、夜遅く帰ったと。彼女は保育士だ
から、子どもの親が引き取りにくるまで待機しなくてはならない。

長男と彼女は結婚予定。今年中に結婚式をすることはできるか。震災の
後なので、状況が変わった。

福島原発の事故がしきりに気になる。関東地方の人々も放射能汚染の
最悪事態を考えておかなくてはならない。
フランス政府は同国人の避難のため、帰国のためにエールフランス機を
用意したと報道。また、滞在する同国人用にヨウ素剤を用意したとも。

日本政府は日本に住む人に「ヨウ素剤」を用意しているはずだ。ただそれ
をどのようにして配布することができるかを手立てを打っているか心配
する。

16日、近くの公園のモクレンのつぼみが膨らむ。中には白い花を咲かせ
ているのもある。春が来た。しかし、今年の春は気が重く、日本には生みの
苦しみがある。新エネルギーは原子力ではないことが判明した。
太陽力発電、風力発電、地熱発電などのニュー・エネルギーで立国を考え
なければならない。また、今までの政治は疲労している。新しい希望をもった
政治―社会が構築されなければならない。

魯迅が志向した新しい生活を私たちは持てるだろうか。
日本人が木偶のぼうで居つづけるか。それを抜け出ることができるか。
日本人個々人だけでなく、日本の民主主義の真価が問われている。

2011年2月20日日曜日

起立しなかった教師を「公務員失格に」

ある市のホームページに匿名のメールが寄せられた。内容は次に掲載する。


昨年卒業式のときに斎藤先生、山﨑先生、森岡先生(筆者註:仮名) 国歌斉唱のとき起立しませんでした。
わたしは 先生側にすわっていたため まともに見て憤りをかんじながらわが子の卒業式をみていました。
ほんとに残念です。(感動もしなかった)親も子も来賓もみな たってるのに。
○○市の学校の先生は 髪の毛がまゆげにふれてる、だらしない、規則をまもれっていうくせに 国の規則は
まもらないのですね。公務員失格にしてください。
自分の意見を 通そうとする姿勢が許せません。国から給与を もらうべきじゃありません。
せめて起立するなりできるとおもいます。
○○府の入学式卒業式は 気持ちのいいものです。みな先生たってます。
なぜ「市」は こんなにあまいのでしょうか?



このメールには事実誤認が認められます。また、わざと漢字を使わずにひらがな書きを
しているように思われます。このメールが事実かどうか調べないと何とも言えません。

卒業式の案件は既に職員会議に出されて、3月の卒業式を迎えます。
組織的な動きとは切り離して考えていいでしょう。
ただ、しばらくして、指導主事が該当校に出張してきたそうです。

この保護者は生徒指導方針への不満を抱き、学校と対立した背景があるようです。子育てを共同でする立場にたつには、どうすればいいか。教員の悩みは尽きない。

2011年2月3日木曜日

維新の会 公立中に給食公約に 統一地方選 知事に予算要望へ

日経新聞(2011.1.14朝刊)の見出し。

大阪市では新日本婦人の会が長年、要望してきたことだ。
実現していない。しかし、昼食弁当が導入されている。
1食350円。目標の10%の利用に達していない。

私も府下の中学校給食導入に大賛成だ。

しかし、それとは別に教員の労働条件の改善も待ったなしだ。
教員が昼食指導をする必要性も認める。
教員が昼の休憩時間を取れるように人的配置をするべきだ。
ボランティアや地域の人々の協力を得て、教員に休憩時間を
保障すべきと考える。

知事は中学校給食導入だけではなく、府費教員の労働条件
改善の具体策を示す姿勢が問われている。労働基準法違反
の状態を放置することは許されない。

お金を出さずに教員を働かせる方法。巷の噂。府教委がタダで
教員を働かせるためには、「だから、時間管理をしないのです」
府教委が時間管理に不熱心な理由がわかるような気がする。

2011年1月8日土曜日

大阪市内公立中学校の労働時間調査

明けましておめでとうございます。

退職して9ヶ月が経ちました。やっと研究目標が決まり
ました。同志社大学の千田忠男教授のご教示を得て、長
年の疑問を解決するための一歩を踏み出そうとしていま
す。よちよち歩きの研究者として、貢献ができたらと希
望しています。

香港の空港で年越しをしました。時計を見つめつつ、2
011年の生き方を黙考しました。時間旅行者としての
感慨が沸き起こったのを記憶しています。

公立中学校で働く教員は長時間過密労働で苦しんでいる。
しかし、その実態が明らかにされることは少なく、問題
解決の方向も明らかでない。

この問題を打開するには何ができるのだろうか。
労働条件、特に労働時間の基礎資料を得るため、5月から
導入されたカードリーダーの読み取り結果を活用すること
にした。

読み取り結果(月次データ)の情報開示請求を大阪市教育
委員会人事担当に昨年末に行なった。月次データを1月初
旬に情報提供すると担当者から連絡があった。個人が特定
される箇所(職員番号、氏名)にはマスクをかける見通し。

月次データを3月くらいまでに解析したい。
対象者は、大阪市立の◯◯中学校の教諭、常勤講師、管理
職の全員(合計43名)とする。非常勤講師と再任用教諭
を除く。解析対象者数は対象者の7割以上を目指す。

以上の予備調査の結論を2010年度中に出したいと構想
しています。