2011年11月28日月曜日

中学校長の資質(1)

中学校長の資質が上がっているか、下がっているか。あるいは変わらないか。

大阪市内の中学校長の自作資料をアップする。長い文章なので、3回に分けて連載する。題名は「学校の実力が見える風景〜教職員の資質向上を目指して日常的に取り組むべきこと〜」となっている。

①傘立てを見れば担任の心が見えます
放課後、生徒用の傘立てに傘が残っていたら、次の降雨でこどもが困ることを想定できないのではありませんか。また、置いたままの傘で、子どもたちがチャンバラごっこをすることはありませんか。

②掲示物を見れば学校の感性が見えます
見栄えや誤字脱字の有無よりも、どのようなメッセージが込められているかが重要です。ましてや、押しピン1本だけで、プリント類をはろうとするのは論外です。掲示物は、4隅(大きなポスターなどはもっと多く)をきちんと留めてはるものです。

③あいさつを見れば危機管理意識が見えます
来校者に対しては、あいさつはおろか、目も合わせない教職員がいたら、そこは礼儀作法だけでなく、危機管理意識にも問題をもっている学校と言えます。

④掃除用具のロッカーを見れば、生徒指導の力量が見えます
雑巾、ほうきなどが清潔に整理整頓されていれば、生徒指導に優れた教員がいることがわかります。多くの場合、5月以降の教室は、担任の指導によって育った子どもたちが、心を込めて整理整頓しているものなのです。

⑤理科室などの教材室を見れば、教科指導のレベルがわかります
教材室を使いやすく整理するのは至難の業です。ところが、教科指導がしっかりしている学校の教材室は、いつもきちんと片付いています。廊下側のガラス戸に目隠しがあったら、おそらくそこは見られたくない状態になっています。

⑥保健室を見れば、養護教諭の実力が見えます
優れた養護教諭のいる保健室は、さわやかで心地よいものです。限られたスペースに、たくさんの物品があるのですから、整理するための衣装ケースなどが必要です。

⑦管理作業員室の用具置き場を見れば、管理作業員室の仕事ぶりが見えます
用具置き場を一見しただけで、管理作業員の仕事ぶりが見えます。仕事のできる管理作業員は、良い道具を使っています。管理作業員のために良い道具をそろえるのは管理職の仕事です。


教職員(ヒラ)は、この校長の文章から何を感じるだろう。

ヒラメ教師は当然と思うだろうが。最近は職場には青年が増えて、校長の思いこみ発言には重みが増す。

労働法を知らず、教職員組合の存在が希薄になる。しかし、当局に買収されない組合の存在感は増している。

職場に人権侵害が横行すれば、学校現場はブラック企業になる。

今も労働基準法が一部適用されない状態が続いている。給特法の改正が緊急に求められている。面従腹背の教職員が増えると、その影響は児童・生徒に及ぶ。

この校長は、評価の観点を教職員に披露している。この観点に従わなければ、低い評価になると示唆しているのだろう。

危機管理意識をこの校長はもっているのか。校長の言動の聞き取り調査からすると、あやしい。

少数職種(保健室や管理作業員)の仕事ぶりや部屋の整理を文章化すれば、不用な圧力になることを危惧する。

2011年11月26日土曜日

管理職選考試験における受験率・合格率低下の原因

かつての小学校長の中には、「指導」という名で瑣末なことまで指図した人物もいた。しかし、最近はM(問題)校長の噂はあまり聞かない。中学校の校長等の資質が問われるケースが増えているように思われる。パワハラ、セクハラ、安全衛生管理者の責任感欠如、学校運営での独走、教職員集団の分断など。

東京都では、昨年度の管理職選考試験の応募者が483人(募集定員450人)いて、合格率は1.1倍であった。9年前は4.2倍あった。4年前は2.0倍を切っていた。そして、管理職選考試験の条件として、主幹や指導教諭の経験者に限ったことも受験率の低下に拍車をかけた。

大阪府でも2005年から4年間で教頭選考試験で2割ぐらい減少している。大阪市でも受験率や合格率の低下がある。

降格者(文科省調べ)は昨年度では全国で93人いた。特に副校長・教頭では前年度と比べて2倍増えている。

なぜ管理職の受験率が低下したのか。魅力がなくなったからだ。職務内容・勤務時間・処遇で魅力がないと管理職アンケートで上位を占める。仕事の範囲の広さと責任の大きさ。セブンイレブン(午前7時から午後11時まで勤務)。職務内容や職責の実態に見合わない給与。

東京都の教頭の労働時間について書こう。中学校ー11時間25分、小学校ー12時間19分。労働条件の抜本的改善を早くしないと教育の崩壊が現実化する。民間人校長を採用する政策を取り入れる自治体があるが、労働条件の改善に着手しないと集まらないであろう。

労働条件の改善はもちろん教諭についても急がれる課題である。

2011年11月24日木曜日

柔道、安全授業へ真剣勝負 中学、春から武道必修化 教員、実技講習に汗(日経新聞 2011.11.17 夕刊 4版)

来年度から中学校の体育で柔道、剣道、相撲のいずれかを学ぶ「武道」が必修になることを受け、教育委員会や学校が安全対策を急いでいる。3種目とも学校での死亡事故例が報告されており、初めて教える学校からは不安の声も漏れる。各校は教員を集めた実技訓練を行ったり、医師の助言を受けたりと、万全の準備を目指している。

 「首のけがは生命に直結します。気を付けてください」。8月25日、さいたま市が市内の武道場で開いた柔道の実技講習会。市内の中学体育教員約60人の前で、講師が受け身、寝技の方法などを見せながら安全面での注意点を説明した。

 講習会は柔道の安全対策を徹底するため、今年初めて開いた。柔道を教えたことがない教員も多いため、基本的な技のかけ方や練習の方法を教えたほか、打撲部位を冷やすアイシングの仕方など、負傷時の処置も紹介した。参加した教師からは「生徒に手本が見せられそうにない」といった声も上がり、ビデオ教材の利用を勧める場面もあった。

 相模原市は6月、脳神経外科の医師を講師に、各校の体育教員を呼んで安全講習を開いた。柔道の投げ技は頭を床にぶつけなくても、頭が動く勢いだけで脳が傷つく場合があることや、2度連続で頭に衝撃を受けると危険が高まることなどを説明した。

 来年度から柔道の授業を始める同市立藤野中学校の清水孝子教頭(53)は「新たに指導する先生の負担は大きくなる。先生2人で1クラスを教えることも検討したい」と緊張する。

 武道の必修化は、子供の体力向上策の一環として国が2008年に決定。来年度から1、2年生の男女全員を対象に、柔道、剣道、相撲のうち1種目を必ず教える。以前はダンスなどとの選択制で、文部科学省によると、多くの学校が必修化を受けて初めて武道の授業に取り組む。

 専門の指導者を学校に派遣する自治体もある。東京都練馬区は既に男子について全中学校で武道の履修を開始。希望する学校には、全日本柔道連盟と全日本剣道連盟の有段者を2人ずつ派遣し、担当教師との3人態勢で指導に当たっている。

 文科省は「無理な試合をしないなど、十分な注意をすれば武道は飛び抜けて危ないスポーツではない。楽しく触れてほしい」と話している。

NIKKEI.com(2011.11.17 12:22)

2011年11月23日水曜日

派遣法案修正に理解 (2011.11.18 朝日新聞 朝刊14版)

連合の古賀伸明会長は17日の記者会見で、労働者派遣法改正案が大幅に修正される見通しになったことについて、「残念だが、法案を通していく苦渋の選択として受け止める必要がある」と理解を示した。同法案は野党の反発でめどが立っていなかったが、民主と自民、公明の3党は、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止の規定の削除などの修正をし、成立を目指すことで合意した。

派遣法改正案の修正を容認 連合会長(産経新聞 2011.11.18 朝刊)

連合の古賀伸明会長は17日の記者会見で、労働者派遣法改正案をめぐり民主、自民、公明3党が製造業派遣の原則禁止を除外するなどの修正方針を固めたことについて「残念ではあるが、苦渋の選択として法案を通していくことを受け止める必要がある」と述べ、法案修正を容認する姿勢を示した。

 古賀氏は「今の今でも与党が提出した法案が成立するのがベストだと思っているが、今の国会情勢の中では法案がそのまま通るのは極めて厳しい状況だ」と指摘。また「3党の合意で一定程度の方向性が取れたのならば、この臨時国会でぜひ成立させてほしい」として、法案の早期成立を求めた。
MSN産経ニュース(2011.11.17 19:25)

TPPに係る総理会見についての談話(連合事務局長談話、連合HP)

2011年11月14日
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に係る総理会見についての談話

日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行
 野田総理は、11月11日の記者会見において「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」との見解を表明した。わが国の経済成長と発展の基盤を再構築するうえで包括的経済連携の強化は重要な政策課題の1つであり、TPP交渉参加に向けた歩みを進めるとの野田総理の判断は是としたい。
 しかし、TPPに関する政府の説明不足が国民各層から指摘されており、各分野における懸念も払拭されていないことから、政府の情報開示はもとより、国内対策、さらには、国民的な合意形成への道筋を示すことが大きな課題である。

 会見の中で野田総理は、「日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる、安定した社会の再構築を実現する」「更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経たうえで、あくまで国益の視点に立って、TPPについての結論を得ていく」との決意を述べた。TPPへの交渉参加が、わが国の経済成長と雇用創出はもとより、アジア太平洋地域における公正で持続可能な発展につながるよう、政府は交渉戦略の確立と体制整備に早急に取り組む必要がある。
 加えて、政府は、TPPに対する様々な不安の声を真摯に受け止め、TPPに関する情報開示を徹底するとともに、必要なすべての分野についての国内対策確立に向けた議論を加速し、交渉参加への懸念を払拭しなければならない。

 連合は、2010年10月、「政府の『経済連携の基本方針』策定に対する連合の考え方」をまとめ、中核的労働基準の遵守、安易な人の移動の制限、強い農業の構築等への留意を前提とした包括的経済連携の推進を政府・民主党に求めてきた。
 今後は、TPPが農林水産、食品、医療・介護をはじめ幅広い分野に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、TPP参加に係る懸念事項と必要とされる対応策等を整理し、政府の適切な対応を求めていく。
 併せて、政府に対しては、国民への適切な情報開示と国民的な合意形成に向けた丁寧な対応を要請していく。

 連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、わが国の持続的成長と雇用創出に資する政策・制度の実現に全力で取り組んでいく。
 さらに、TPPがアジア太平洋地域における公正で持続可能な発展及びディーセント・ワークの実現に寄与するよう、交渉参加国のナショナルセンターと連携するなど、国際労働運動と足並みを揃えて取り組みを進める。

以上

2011年11月13日日曜日

過労死労災認定の企業名 開示求める判決 大阪地裁(日経新聞 2011/11/11 朝刊)

過労死などで社員が労災認定を受けた企業名を開示しないのは違法として、市民団体「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(62)=京都市=が国に大阪労働局の不開示決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(田中健治裁判長)は11日までに、請求を認め、不開示決定を取り消した。

 原告側弁護団によると、過労死を巡り企業名の開示を認めた判決は初めて。判決は10日付。

 田中裁判長は判決理由で「企業名だけでは特定個人を識別できない。企業の社会的評価の低下に直結するものでもない」と指摘し、情報公開法で定める不開示情報に当たらないと判断した。

 判決によると、寺西さんは2009年3月、大阪労働局管内で02~08年度に従業員が脳や心臓の疾患で死亡したり病気になったりして社員が労災認定を受けた企業名の開示を請求したが、同年4月、不開示とされた。

 判決後、記者会見した寺西さんは「過労死を繰り返さない社会の実現に向けて一歩前進した」と判決を評価した。
Nikkei.com(2011/11/11 08:58)

2011年11月10日木曜日

大阪市教委の国旗掲揚・国歌斉唱についての通知

教育長は2011年1月27日、通知を大阪市各学校園の校長と園長に出した。

国旗掲揚・国歌斉唱について、5点にわたる通知である。

国旗を式場内に掲揚する。

国歌を式次第に掲載する。

起立して斉唱する。

音楽の授業等における国歌斉唱の指導を進める。

卒業式及び入学式においては、ピアノまたは吹奏楽による伴奏で、大きな声で国歌が斉唱できるよう指導を進める。

そして

また、郷土を愛する心を育てるという観点から、大阪市旗の掲揚、市歌の斉唱の実施を進めていただきたい。

今年度も上記のような通知が出されるだろう。政令指定都市の大阪市には文部科学省から直接に圧力がかかってくると聞く。

12月から1月にかけて職員会議で卒業式の実施案を討議する。かつては侃々諤々の議論が展開された。平行線の議論で疲労し、空中戦で時間を浪費した。最後は管理職の「お願いします」「管理職の責任で実施します」の空疎なコトバで卒業式を迎える。職員会議が憂鬱で反抗的なものから逃避と儀礼の時間に変化してはいないか。教師が教育的視点から目を逸らし、お上(教育委員会)に盲目的に従属し、自らの保身を考えるようになれば、この国の将来は暗い。

2011年11月2日水曜日

こども相談センター(旧児童相談所)のケースワーカー

大阪市青少年局調べ。

こども相談センター(旧森之宮の市立労働会館)のケースワーカー(児童福祉士)の数、一人あたりの件数ならびに受持ち行政区の数について情報提供を求めた。

こども相談センター全体でケースワーカーは60名がいる。(スーパーバイザー11名含む)

平成22年度1年間の養護・非行相談件数を担当する児童福祉司数で割ると一人あたり約140件となり、施設入所しているケースについては約60件で、合計約200件になる。また、地区担当ケースワーカーは一人あたり1区ないしは2区を担当している。

養護・非行相談に対応できる体制になっていない。仕事に追われている児童福祉士の姿が浮かんでくる。

ケースワーカーの多忙を減少させるため、補正予算でこども相談センターに嘱託職員を配置した。その職員の身分と給与の情報提供を併せて求めた。

・虐待通告にかかる業務を行なう非常勤嘱託職員(1名)
  月額報酬 168,000円  週30時間勤務
 
・ 児童福祉施設を退所予定の児童にかかる調整・支援を行う非常勤嘱託職員(2名)
  月額報酬 168,000円   週30時間勤務

週5日勤務として、1日平均6時間勤務となる。正規職員の勤務時間は7時間45分。正規職員の定数を増やすのをしないと、ケースワーカーの多忙を解決することにならない。