2012年8月11日土曜日

時間外勤務誤申請、支援学校7職員処分(朝日新聞2012.8.11朝刊、大阪市内14版)

大阪市教委は10日、時間外勤務を実態より多く申請したとして、生野特別支援学校に務めていた事務職員7人を停職6カ月や減給1〜6カ月の処分にしたと発表した。時間や日付を間違えて記入したといい、「手当をだまし取る意図はなかった」(市教委)とみている。 市教委によると、7人は休暇の日に時間外勤務の実績を書き込むなどして、2006年から約6年間で合計約3万9千円分を余分に受け取った。本来その日のうちに書くべき記録を、メモなどを頼りに1カ月分をまとめてきにゅうしていたという。 ★事務職員は教員と違って、36協定を結んで時間外労働ができる。大阪市の教職員は各自ICカードを持っていて、出退勤時にICカード読取機にかざすことになっている。記録されるのは、出退勤時の時刻だけである。45分の休憩時間の取得の有無は、別の記録簿に記入しなければならない。そのことを詳細に説明をした管理職の存在は寡聞である。私の退職時の学校では、隅っこに立ててあった。 労働組合の存在感は職場によってさまざまだが、管理職の「上から目線」は強まっているように感じる。特に団塊の世代の退職が増えるに従い、たしなめる教員がいなくなり、目の上のタンコブがとれると、自らの考えをさも市教委の考えと教職員に押し付けるやり方が通用している感がする。 労働安全衛生法に理解を示す管理職がどれだけいるのかと心細くなっている。また、衛生推進者が各校にいるのか、安全衛生委員会が機能しているのかと心配が増してくる。 教員でいえば、定数が増えずに仕事量が増している状態は、教育の果たす役割からいっても日本の将来が危惧される。休憩時間の取得できているかと聞くと、現場の教員から笑われる。忙しくて、意識的に書くようにしないとできませんよと回答が返ってくる。書かなければ、休憩時間は取得されるようになっている。 この記事は、現場の労働に見合った労働時間管理システムの変更に結びつかねば、今後再発するものと言わねばならない。懲戒処分で事は済んではいない。現場の労働を見ずして、淀屋橋(現場では市教委事務局を指す)のデスクワークから出た処分と言わねばならない。 ★教員の労働時間は青天井と言われている。最近は若い先生が増えている。22:00に退勤する先生もいると聞く。あるいは、時間外労働といっても07:00に出勤して仕事をする教員もいると聞く。かつては年配の先生が「今日できることも明日にして」居酒屋で飲むのを誘われたことがあった。大らかな時代であったと言えるかもしれない。昭和48年に就職したころ、年配の親しい先生が「忙しくなったな~」と嘆いていたことが思い出される。給特法が成立した後で、教員には残業が原則としてない(例外を除いて)のだよと教えられた。 労働時間管理がなされていないのが教員の世界だとつくづく感じる。この状態を変えるには、給特法の改正と労働基準法の全面適用が求められる。そして、定数法の改正である。どこの教育委員会でも正教員を増やさず、非正規雇用の教員でやりくりしている。非正規雇用教員の生活に目を向けなければならない。

2012年7月7日土曜日

お盆ではないのに、怪談噺

私の友人からメールが来た。 「怪談。」と書いてあった。【一部を除き、そのまま引用する】遂に、対教師暴力が起きました。自分は打ち合わせにはいなかったのですが。 昼の打ち合わせ後、被害に遭われた先生は5限の授業をした(本人の希望でもあったそうですが)というから恐ろしい職場です。【引用終了】 以上の文章から、この職場の雰囲気をどのように想像できますか。 ⬇ 私はその友人に、私の感想を次のように送りました。【返信】で感想を送りました。 管理職の存在感がないですな~。 被害に遭った先生には授業をさせずに、病院へ行くよう説得するのが管理職の務めではないかな。もちろんですが、通院なら年休をとる必要もありません。 生活指導主事の講師さんの動きも見えませんね。組織としての学校でなくなっていますね。評論家的見方でスミマセン。(中略)あなたの「恐ろしい職場」に同意します。くれぐれも君子危うきに近寄らずですよ。 ⬇ 友人からメール。【引用開始】(私の)つたない情報から、今日の問題点を読み取っていただいて、慧眼恐れ入ります。◯◯センセイとも同じようなことを話しました。 怪我する程ではないそうです。でも、学校としてどうするか、管理職としてどう部下を守るか、誰も答えてくれません。大怪我してから動くのでしょうか。 それにしても、自転車通学のときはあんなに猛った管理職と生指部が、今回は大人しいのです。【引用終了】 ⬇ 私から友人へのメール。 職場では、善意の観察者に徹しましょう。間違っても、(私)のように起立して管理職を追求してはなりませぬぞ。 ⬇ 翌朝に、友人からメールが来ました。【引用開始】最近、5時に退勤して9時に寝る生活をしているので、メール送信後、すぐにスリープモードになっていたのでした。身を粉にして働くことに阿呆らしさを感じている今日この頃です。 * このメールのやり取りをご覧になって、どんな感想を持たれただろうか。 昨夜、JR天満駅前で「ディープでチープな会」例会があった。組織名はないし、定例会でもない。スケジュール帳に書くのに必要だから、そう書いているだけだ。大雨だったが、その店は客で賑わっていた。魚と天ぷらが安くて美味しかった。酒の肴は大阪市の教育だった。6人とも現職教師あるいは元教師だ。 現職教師は2年前とは状況がガラリと変わっていると、語る。私が教職から2年前に退いていた。城東区や鶴見区の中学校の状況が語られた。ため息がでる。教師の顔ぶれも若年化している。教員間のコミュニケーションもうまくいかないようだ。かつて環状線の内側を除き、教職員が居やすい職場を◯◯温泉と言ったものだ。管理職が風を吹かせても、悪くいえば無視する、今様ではスルーするのが対抗様式だった。組合の組織率も高かった。60人の教員の中で、未組合員は2人という職場にいたことがあった。 教員が熟慮黙考する習慣の大切さを痛感する毎日である。「論述の手引き」という講義で、教授が言われた。「教室の中に論述の自由な空間がないと、議論の共有は進まない」と。4月からこの講義に休まないで、全出席してきた。その理由は、この授業に「自由な空間」があって、その魅力に惹かれているからだと気づいた。現代の教員に「自由な空間」が保障されているだろうか。将来の主権者(子ども)を教育する教員に「自由な空間」を擁護する責務を私たち大阪市民は負っているのではないだろうか。

2012年5月17日木曜日

就職2カ月で過労自殺 居酒屋チェーン「和民」の26歳女性 異常な長時間労働が原因と両親が労働災害認定を申請(神奈川労連)2010.3.1

森美菜さんは26才という若さで08年6月に自殺しました。名古屋から希望に胸を膨らませ「和民」(ワタミ)に就職するために上京した2ヶ月後に…こんな悲惨なことになるとは予期しないことでした。 亡き美菜さんは京急久里浜店に配属され(1)一週間の座学後、強制的に長時間労働(2)最大7日間連続の勤務(3)研修もまったくないまま、なれない大量の調理業務(4)休日や勤務終了後もレポート書きに追われ、十分な休息時間がとれなかった(5)体調不良を訴えていたにもかかわらず会社はなんら適切な措置をとらなかった(6)さらに朝3時に閉店後も電車が動いていないため帰宅できずお店にいて始発電車で帰ることとなり、過度な疲労と精神的負担が蓄積されました。 名古屋に住む両親が横須賀労基署に労災を申請。労基署は残業時間100時間を超える労働に従事していたことを認めましたが、業務外と決定しました。その理由は、「心理的負荷評価表」の評価の当てはめかたに、大きな問題があります。美菜さんは一週間の会社の研修が終わり、いきなり交代深夜勤務さらに残業もさせられたことについて、「勤務形態に変化があった」として評価表の1にランク付けされました。そして長時間労働は認めましたが総合評価は「中」であり業務外としました。 「和民」の働かせ方に大きな問題があります。所定労働時間、労働基準法を無視して「長時間労働」「連続した深夜勤務」の常態化により美菜さんは心身ともに疲労困憊し26歳という短い生命を絶ちました。 現在、業務上と認めさせるために、両親は労災保険審査官に対し審査請求を行いました。働くもののいのちと健康を守る神奈川センターは両親といっしょに業務上の認定になるよう奮闘しています。3月下旬には結論が出る予定となっています。皆さんのご支援をお願いします。

2012年3月12日月曜日

宿題手伝う母親。小学生で4割 成績重視の傾向強まる(日経新聞 2012.03.08 夕刊 4版)

子供の成績を重視し、小中学校の宿題を手伝う母親が増えていることが、ベネッセ教育研究開発センター(東京)のアンケートで8日までに分かった。昨年9月、首都圏の小中学生の保護者に調査票を配布、約7500人の母親の回答を分析した。  「宿題を手伝う」と答えた母親は小学生が2007年の前回調査から4.5ポイント上昇して40.0%、中学生が2.1ポイント増の15.8%となった。「学校や塾のノートに目を通す」中学生の母親も6.1ポイント増の39.3%に上った。  「できるだけいい大学に入れるよう成績を上げてほしい」と答えた母親は小中学校合わせて30.0%で4.5ポイント増える一方、「学校が楽しければ成績にはこだわらない」は3.7ポイント下がって18.7%となり、成績重視の傾向が強まった。  40%以上が「子供が大人になって独り立ちできるか不安」と感じていることも判明。センターは「世界的な経済危機や東日本大震災で先行きに不透明感が広がり、就職状況も厳しい中、子供に学力を付けさせたい親が増えているのではないか」と話している。〔共同) NIKKEI.com(2012.03.08 11:55)

高校柔道で障害 道に賠償命令 札幌地裁(毎日新聞2012.03.10 朝刊14版)

北海道立芦別高(芦別市)の柔道部の練習中に投げ技をかけられ、受け身を取れずに頭部を強打し脳に障害が残ったとして、石狩市の元女性部員(20)と家族が道に約2億2900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は9日、約1億3600万円の支払いを命じた。 判決理由で石橋俊一裁判長は「女性の体調や技能を考えれば、練習試合に出場させるべきではなかった」として、学校側の過失を認めた。 「指導教諭は、健康状態や技量など生徒の特性を十分に把握し、事故を防ぐ注意義務を負う」と指摘した。 判決によると、芦別高2年だった女性は08年8月、柔道部の練習試合で大外刈りをかけられ後頭部を強打。脳に障害が残り、手足もまひしたままで介護が必要になった。同5月にも練習で頭部を打ち、急性硬膜下血腫と診断されていた。

君が代斉唱不起立:大阪府教委、17人を戒告 条例施行後初の処分(毎日新聞2012.03.10 朝刊14版)

大阪府教委は9日、府立学校の卒業式で、君が代斉唱の際、起立しなかった教職員は同日現在29人に上ると発表した。このうち先月に卒業式があり職務命令に反して起立斉唱しなかったとして教員17人を9日付で懲戒処分(戒告)とした。昨年6月の起立斉唱を義務づける府条例施行後、初めての処分。府立学校の卒業式は今月16日まで続くが、過去、君が代を巡って懲戒処分を受けたのは全6人だけで、前例がない大量処分となる見通し。  府教委によると、処分を受けたのは先月24~29日に卒業式があった14校の49~62歳の男女。同様の理由で懲戒処分を受けたことはなく「思想・信条を理由に起立しなかった」などと話しているという。  府教委は起立斉唱しない教職員に対して09年度から懲戒処分を開始。懲戒処分は09年度の卒業式で4人、今年度の入学式で2人だけだった(いずれも戒告)。今月の式で起立しなかった教職員の処分は、月末までに行う方針。  ◇処分の教諭「考え強制恐ろしい」  今回、処分された女性教諭は9日、毎日新聞の取材に対し「思想良心の自由を主張したことで処分されるのは納得できない。一つの考えを強制して全員を立たせようとするのは恐ろしい」と憤った。「君が代の歌の意味は国民主権を掲げた憲法にそぐわない」との思いから起立斉唱に反対してきた。  職員基本条例案が制定されれば4月の入学式から「同じ職務命令に3回違反すれば免職の対象」となる。教諭は2回目までは起立しないことを決めているという。【田中博子】 毎日新聞 2012年3月10日 東京夕刊