2011年6月30日木曜日

しんぶん赤旗 部活を公務認定 元教員が全面勝訴 名古屋地裁(2011.6.30 B版)

 愛知県の元豊橋市立石巻中学校教員の鳥居建仁さん(51)が、学校祭のさなかに脳内出血で倒れ高次脳機能障害になったのは公務災害だとして、地方公務員災害補償基金の公務外処分の取り消しを求めた裁判で、名古屋地裁(田近年則裁判長)は29日、鳥居さんの訴えを全面的に認める判決を下しました。

 鳥居さんが発症したのは2002年9月13日。直前1カ月間の残業時間は約122時間で、朝練や部活指導後の教材研究、学校祭の準備などの激務が続いていました。基金は、職務命令以外の労働時間をカウントせず、発症の原因は脳内血管の持病の自然的経過だと主張しました。

 判決は、教育労働の特性から部活動などの自発的な活動についても包括的な職務命令とし、仕事と発症との因果関係を認めました。過重な時間外労働が長期間にわたって継続していたと認定し、持病があってもなくても、こうした過酷な労働を続ければ発症しうるとの判断を示しました。

 鳥居さんは裁判後、喜びの涙で声を詰まらせながら支援者に感謝し「自分が頑張ってきたことが否定されず、認められたことがうれしい」と述べました。

 小林修弁護士ら弁護団は「教育現場の実態を良く理解した判決だ」「多くの教育現場で、部活動指導などがボランティアとして扱われているなかで、この判決は全国に大きな影響を与えるものだ」と述べました。

 この後、鳥居さんと支援者らは基金愛知県支部を訪れ、控訴しないよう要請しました。
jcp.or.jp(2011.06.30)

2011年6月22日水曜日

朝日新聞 「つくる会」歴史教科書が年表丸写し 市民団体が指摘(2011.06.14 朝刊)

 市民団体「子どもと教科書全国ネット21」(事務局・東京)は13日、横浜市で記者会見を開き、「新しい歴史教科書をつくる会」主導で編集された自由社の中学歴史教科書2012年版の年表が、東京書籍の02年版教科書とほぼ一致していると発表した。

 同ネットによると、両教科書の年表の「日本のおもなできごと」で、「縄文時代 採集や狩りによって生活する」から「1997 アイヌ文化振興法制定」までの約180項目すべてで出来事の選択が一致した。

 9項目で「大和国家」「太平洋戦争」(東京書籍)と「大和朝廷」「大東亜戦争(太平洋戦争)」(自由社)などの違いがあった以外は表現も一致していた。

 横浜市内8区の市立中学校で自由社の10年版教科書が使われており、10年版もほぼ同様の状態だったことから、同ネットは今回、横浜市で発表したという。

 同ネットの俵義文事務局長は「丸写しで盗用した可能性が高い。他社が改良を重ねて築いた成果を勝手に使うことは大問題だ」と指摘。他にも同様のケースがないか調べているという。

 東京書籍は「初めて聞いた話で驚いている。事実関係を確認のうえ今後の対応を考えたい」としている。

 自由社版教科書の代表執筆者で「つくる会」会長の藤岡信勝さんは「指摘を受けるまで気づかなかった。年表作成の担当者は自由社を退社しており、経過を確かめようもないが、関係者に迷惑をかけ、深くおわびする。夏にこの教科書が採択された後、来春の使用開始までに充実した年表につくり直す」と話した。
Asahi.com(2011.06.13)

毎日新聞 大阪維新の会:中学歴史教科書「自由社、育鵬社使用を」(2011.06.22 朝刊 市内 14版)

首長政党「大阪維新の会」大阪市議団が、中学生の歴史教科書として、記述内容で賛否両論がある自由社や育鵬社の教科書を使うよう求める方針であることが21日分かった。教科書採択に関する意見書や決議文を、早ければ9月定例市議会に提出する方針。中学校の教科書は来年度に4年に1回の更新を迎えるが、市教委の選考に影響を与える可能性もある。

 自由社は、自国中心の歴史観を反映した教科書づくりで内外の反発を招いてきた「新しい歴史教科書をつくる会」と連携して教科書を発行。育鵬社は扶桑社の子会社で、両社とも教科書検定で合格している。

 市議団幹部は「日本の歴史をしっかり書いている教科書を選んでほしい」と話している。【小林慎】
Mainichi.jp(2011.06.22)

2011年度は中学校教科書採択の年に当たります。「新しい歴史教科書をつくる会」=つくる会が仲間割れし、日本教育再生機構=教科書改善の会は育鵬社から教科書を発行。つくる会は自由社から教科書を発行します。歴史でこれらの教科書が使われたら今の小学校3年生から6年生まで、公民は5年生から中学2年生までの子どもに影響があります。

子どもと教科書全国ネット21がパンフレット「子どもに渡せない育鵬社版 自由社版教科書」を作っています。そのパンフレットの見出しを列挙します。

アジア太平洋戦争を美化する教科書。
侵略の歴史を偽り、アジアの人々との友好に背を向ける。
社会の主人公は民衆ではなく天皇だと教える。
国民より「天皇」と「国家」を優先する教科書。
原発を礼賛し、危険性にほとんど触れない。
女性差別を取り上げない教科書。
子どもや若者の苦悩に目を向けない。
狙いは憲法「改正」と徴兵制。

横浜市や東京都杉並区で成功した方法を大阪でもと狙っています。首長政党「大阪維新の会」の動きは危険です。公約していなかったことでも数の力でゴリ押しをした政党ですから。首長→教育委員の投票によって教科書採択させる手法です。

教科書展示会で実物の教科書を手にとってみてください。

毎日新聞 広島・君が代不起立:最高裁が合憲判決 4度目判断(2011.06.22 東京朝刊)

 入学式などで君が代斉唱時に起立しなかったとして戒告処分を受けた広島県立高校の教職員と遺族ら45人が、県教委に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は21日、「起立命令は合憲」と判断した。教職員側敗訴の1、2審判決が確定した。同種訴訟で最高裁の合憲判断は4度目。

 過去3度の判決は都立学校での「起立・斉唱命令」が争点になったが、今回は多くの原告が起立命令しか受けておらず、争点は起立命令の違憲性になった。

 判決は「(思想・良心の自由の)間接的制約となる面があることは否定しがたい」としながら、職務の公共性などから制約が許される必要性や合理性がある、と判断。ただ、斉唱まで命じられた原告については田原睦夫裁判官(弁護士出身)が「内心の核心部分を侵害する可能性がある」との反対意見を述べた。

 判決後、原告側弁護士は「最高裁は君が代の強制が学校現場を荒廃させていることを理解すべきだった」と話した。【伊藤一郎】

Mainichi.Jp(2011.06.22)

朝日新聞 助っ人先生 優しくケア(2011.05.25 朝刊 教育1 13版)

宮城、緊急学校支援員を配置
宮城県教委が、被害の大きかった地域の公立学校で子どもの「心のケア」や学校再開の助けになる人材として募集した。退職した校長や教職員計44人(20日現在)が、7月ごろまで臨時職員として働く。県独自の制度で、費用の7600万円は県が負担するが、県は国に補助を求めている。
Asahi.com(2011.06.25)

朝日新聞の朝刊(2011.06.08 10版)の「私の視点」に東京都品川区立大崎中学校長の浅田和伸氏が投稿されている。見出しには「被災地の教育支援 全国の退職教員 結集して」とある。

氏の文章から引用する。「持続的な支援のためには、退職教員の力を活用しない手はない」と提案されている。その提案に賛同する。「教育委員会や文部科学省がうまく調整し、被災地のニーズとすり合わせて派遣する」「国が主導して(中略)教科指導や学級担任などの仕事にも大いに活用すればよい」こういう被災地支援を県に任せず、国が費用の補助をして実現することを願う。

2011年6月21日火曜日

朝日新聞 職場のホ・ン・ネ 教師の数増やして(2011.6.10 朝刊 13版)

小学校の新しい学習指導要領が4月から施行されました。ほとんどの学年で6時間目まで授業があります。教室を片づけて職員室に戻ると午後4時。勤務時間は、午後4時45分までです。

こういう状態では次の日の授業の教材研究が十分にできません。成績をつける時期には、どう考えても45分で仕事が終わりません。給料の4%の調整手当があり、残業手当はつきません。

このままでは優秀な教師は離れていきます。早番や遅番を作るなど教師の数を増やしてほしいと切実に思います。
(兵庫県 50代女性 教員)
Asahi.com(2011.06.10)

2011年6月18日土曜日

毎日新聞 東日本大震災: 日本国憲法草案参画のベアテさん、米国から被災お見舞いメール/宮城 (2011.6.18)

 ◇GHQで日本国憲法草案に参画 ベアテさんが友人に
 日本国憲法の男女平等条項などの草案を作った米国ニューヨーク(NY)在住のベアテ・シロタ・ゴードンさん(87)が、友人の仙台市泉区の主婦、但木和子さんら3人に東日本大震災を見舞うメッセージを電子メールで寄せた。ベアテさんにとって日本は少女時代を過ごした心の母国。メールでは、困難に立ち向かう日本人の勇気をたたえるとともに原子力に代わる新エネルギーの必要性を訴えた。

 メッセージを受け取ったのは、但木さんのほかに、高校時代の恩師の永澤汪恭(ひろやす)さん(69)=太白区、焼版師の瀬川満夫さん(78)=青葉区。永澤さんと瀬川さんは平和活動に関わり、仙台に講演に来たベアテさんと十数年来の知り合い。但木さんは06年3月、瀬川さん考案の「九条せんべい」をNYのベアテさんに届け親しくなった。

 3人は大震災後、「ベアテさんは日本を心配しているはず。私たち3人の無事を伝えよう」と考えが一致し、但木さんが3月25日に英文メールを送った。すると同27日に返信メールがあった。その後4月18日と5月8日にもメールが届いた。

 メールの内容を総合すると、3人の無事を喜び、「大地震と津波、原発事故に立ち向かう勇気と献身は称賛に値する」「日本人は世界の平和と安全の運動のリーダーになるべきだ」「太陽光発電など(人間や環境に)ダメージを与えないエネルギーを追求しなければならない」と、反核・平和主義の素顔を見せる。

 ベアテさんはユダヤ系でウィーン生まれ。5歳で両親と日本に移り15歳まで過ごした。その後、米国に留学し米国籍を取得。太平洋戦争後の日本に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局の一員として来日し、男女平等について憲法草案の作成に深く関わった。憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」はその表れと90年代に判明し反響を呼んだ。日本では映画「ベアテの贈り物」(日本映画新社)が作られ05年に公開された。

 但木さんらは「ベアテさんの日本を思う気持ちを東北の人たちに少しずつ伝えていきたい」と話している。【小原博人】
Mainichi.com. 2011/06/17

♬日経新聞 教科書調査員の名簿開示命令 横浜地裁(2011.06.18)

 横浜市立小学校などの教科書採択をめぐり、事前に各社の教科書を調査した調査員の名簿を同市教育委員会が採択後も非開示としたのは違法として「かながわ市民オンブズマン」メンバーの女性が開示を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は15日、非開示決定を取り消し、開示を命じた。

 市教委は非開示理由を「教科書会社や研究者などからさまざまな働き掛けが行われ、公正な事務が阻害される」と主張したが、佐村裁判長は「採択結果を事後に検証する目的の働き掛けは、説明責任として調査員が受忍すべき範囲のもの」と述べた。

 市教委によると、調査員は教員らから任命し、採択前に各社の教科書を調査研究し、市教科書取扱審議会に報告する。2009年度まで採択後に調査員名簿を開示していたが、10年度から非開示とした。

 判決によると、女性は市教委が11年度に使用する教科書を採択した後の10年9月、調査員名簿の情報公開を求めた。

〔共同〕
Nikkei.com(2011.06.15)