2011年9月27日火曜日

日本ペンクラブ、大阪府条例案に反対を表明

日本ペンクラブは9月26日、声明を発表した。

浅田次郎会長名で「私たちは、大阪府教育・職員基本条例に反対します」をホームページに掲載している。

「大阪府教育条例」の中心を「知事が教育目標を定め、その下の教育委員会ー校長ー教職員を指揮命令系統のように序列化し、そこから外れると見なした教職員を一律に排除すること」だと見抜いている。それは「まるで工場の品質管理」のようだとも言う。「思想信条によって人が序列化されたり、差別・弾圧されたり、また職場や地域や国から追われることには反対してきた」組織である日本ペンクラブは明確に反対を表明している。

教育への政治介入を条例によって正当化しようとする知事の独裁的・非人間的手法を批判する声は広がっている。今の教育委員会は文部科学省の下請けになっているが、教育委員会制度を活性化した例がある。教育委員準公選制を実施していた東京都中野区だ。

教育委員会制度を骨抜きにするのでなく、活性化する道をさぐることを提案したい。

2011年9月19日月曜日

祝日も出勤する妻と条例案

敬老の日で休日だ。妻は朝からバタバタしている。外出するのかと聴く。

学校を会場にして、地域の敬老会でお茶会をするのに参加するのだ。生徒を引率して、参加者にお茶とお菓子を出すのだ。今の職場で5〜6年続いている。勤務割り振りの変更をして、平日に休むこともしないだろう。疲労が蓄積して、休日は横になっている。勤務時間も守られていない。残業は当たり前。休憩時間も取れない違法状態。

しんぶん赤旗(2011.09.19)の1面に16日に開かれた大阪府教育委員会で、「教育基本条例案」について教育委員から強い批判があがったと報道している。

大阪「維新の会」の「教育基本条例案」
府教育委員全員が批判
「横暴」「現場を無視」
知事肝いり委員も
厳しい言葉ついて
「総辞職しかない」

「首長の暴走」(平井一臣著、法律文化社)を読んでいる。
マックス・ウェーバー『職業としての政治』からの引用から始まる。

ただ次のことだけははっきりと言える。もし今この興奮の時代にー諸君はこの興奮を『不毛』な興奮ではないと信じておられるようだが、いずれにしても興奮は真の情熱とは限らないー突然、心情倫理家が輩出して、『愚かで卑俗なのは世間であって私ではない。こうなった責任は私にではなく他人にある。私は彼らのために働き、彼らの愚かさ、卑俗さを根絶するであろう』という合い言葉をわがもの顔に振り回す場合、私ははっきり申し上げる。ーまずもって私はこの心情倫理の背後にあるものの内容的な重みを問題にするね。そしてこれに対する私の印象はといえば、まず相手の十中八、九までは、自分の負っている責任を本当に感ぜずロマンチックな感動に酔いしれた法螺吹きというところだ、と。

あとがきで著者は「単純な官民比較によって官僚や公務員をバッシングするのではなく、議論の土俵そのものを考え直すべきではないのか」と説く。

府知事の暴走によって、誰が利益を手にするか。一時の情熱に流されて、流れ着いたところが理想郷でなかったことを願わない。

「教育基本条例案」は知れば知るほど、ヒドイ内容の条例案だとわかる。日本国憲法下の日本でこんな条例が成立させられようとしている。アナクロニズムの政党、その党首の反民主主義性が分かろう。

首長の独走を見るが、大阪府知事のような暴走で教育はよくなるか。「教育改革」の美名でいろんな施策が実行されたが、その利益を国民は手にしたか。2学期制。小中一貫校。学区の統合。学力テストの成績の情報公開。教育指導要領の改訂。これらの施策の失敗で責任を取った者の不在。「教育は百年の大計」とかつて言われた。短期間に成果を出さなくてはいけないような教育は実験であって、教育に馴染まないものであろう。

2011年9月18日日曜日

教職員用危機管理シートを提出させた管理職

ある中学校職場で「厳重保管 教職員用危機管理シート」なるものが、全教職員に配布された。

校長名で「手術等の不測の事態発生時の緊急時の連絡先」を記入して提出をするようにと連絡があった。。1学期末で忙しい時期になんでなのと疑問に感じた教職員もいたらしいが。

本文は以下の通り。

教職員の皆さんが、勤務中に病気等で手術の必要に迫られた時に親族の立ち会い及び承認がなければ、病院としても「麻酔」等の処置さえとることができません。

しかし、現在、皆さん自身の自宅の電話番号や携帯番号は分かっても、このような場合に備えての「緊急連絡先」等の対応ができていないのが現状です。

つきましては、下記に緊急時の親族等への連絡先をお書きいただき教頭に提出をお願いします。

提出された「連絡先」は校長室の金庫に保管し、手術等の不測の事態発生時にのみ使用します。また、転勤・退職の場合は、破棄いたします。

本人の名前
住 所
自宅電話番号
緊急時電話連絡先 ①職場・電話番号 関係
(名 前) ②携帯番号
①にかけてもつながらない場合に②にかけます。
備考(特記事項)


注記として1〜3が載っている。
1 封筒に厳封して教頭にご提出ください。
2 内容に変更がある場合は、その都度、教頭に連絡をしてください。
3 この用紙は、意識不明等で本人から連絡先を聞くことができない場合に使用しますので、それを想定してご記入をお願いします。

★個人情報をここまで収集していいのか。個人情報保護法から見て、必要以外の情報を集めているとしか思えない。
☆緊急時電話連絡先の本人との関係を書かねばならないか。
★不測の事態が発生しないように、普段から管理職は教職員の健康に気を配っていなければならない。労働安全衛生法を学習しているのだろうか。
☆こんなシートを作成・配布・回収したことを市教委は知っているのか。

運動会の季節に想う

運動会(中学校では体育祭)に向けて、練習を行っている学校が多いだろう。

我が家の近くの小学校でも、子どもたちの声やマイクを通した先生の指示が聞こえる。「君が代」が流れてくる。あれ~、おかしいぞ。儀式(入学式や卒業式)に管理職を通じて、教員に強い「お願い」が降りてくる。この曲が流れてくると、へへ~と畏まる自分が見えてくる。戦前、戦中の臣民の気分が纏わり付いてくるのだ。アナクロニズムに囚われている日本の教育は間違っている。運動場の隅に日の丸が常時翻っている。その旗に注目しながら歌を聞いているのであろう。民主党政権になっても、文科省の偏向教育は収まらない。

大阪府でも、知事で地域政党代表が「教育基本条例案」を議会に提案する。民(意)をバックに過半数の力で成立させる手法には賛成しかねる。大阪弁護士会が15日、反対声明を発表した。公務員(とくに教員)が嫌いな現知事は、公務員を敵にして府民にカタルシスを与えるリーダー像を描いている。独裁を認める。石原都政のマネをしている府知事には早く大阪から退場を願いたい。

ナチスが政権を握る過程をおさらいするのも、大阪に独裁者を君臨させない教訓になろう。

1933年4月 「公務員再建法」制定。(反ナチスの人物やユダヤ人を公職追放)
1934年9月 ナチス党大会でヒットラー演説。「我々が役人に支配されるようなことがあってはならない。我々が役人
を支配するのだ」
1935年 ルドルフ・ヘス(副総統、無任所大臣)が公務員の人事権を掌握。
1939年〜 ナチスの党員でない者は公職に就けないことを認める。「党員を国家組織の要職に任命するなどの手段に
よって、国家組織を支配しようとした」

国家組織を大阪府や学校教育に置き換えるとどうだろう。要職を校長や教育委員に置き換える。かつて教育が政治介入で国家に都合のいい国民づくりを強制させられた過去がある。大阪府を先頭にして、右寄りの教育改革が始まろうとしている。そうさせてはならない。

2011年9月4日日曜日

読売新聞 なり手いない副校長、都内公立小の2割で不足(2011.09.03)


 東京都内の公立小学校の約2割で、2013年度、教員の育成や外部との窓口役になる副校長が配置できなくなる可能性があることが都教育委員会の推計で分かった。

 都内の公立小は1308校と全国最多で、約250人が不足しており、秋田県の公立小学校数に相当する。団塊世代の大量退職に加え、実態は雑務に追われがちな管理職が敬遠されていることが背景にある。

 都教委は現在、定年退職者らの校長や副校長への再任用などで対応しているが、14、15年度も約200人ずつ不足する見通しだ。

 都内公立小の副校長の定数は1311人だが、近年は年200人程度の管理職の定年退職者が出る一方で、管理職選考の受験者も激減している。主に中堅教員を対象とする「B選考」の場合、2000年度に3・2倍だった倍率は08年度以降、1・1倍まで落ち込んでいる。自ら望んで校長や副校長から教員に身分を戻す「降任」も年10人程度いる。

 副校長職が敬遠される原因の一つは、その「激務」ぶりだ。都教委が昨年9~10月の2週間、勤務実態を調べたところ、1日の平均勤務時間は12時間19分。残業は平均4時間、9割は「休日の半数以上が勤務」で、その3分の1は休日全て出勤していた。仕事の内容も、電話応対や書類作成などの事務作業が多く、「心の病」で休職する副校長も校長の2・8倍に上る。
Yomiuri online(2011.09.03)

2011年9月2日金曜日

日経新聞 ユニクロ、始業は朝7時 本部就業2時間前倒し(2011.08.30 朝刊14版)


 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは9月から、就業時間を現在より2時間前倒しし、午前7時~午後4時とする。仕事を終える時刻を早め、その後の時間は社員に語学やビジネス上の知識を学ぶ時間に充ててもらう。世界展開を進める上で必要な人材の育成につなげる。

 東京本部(東京・港)などで働く社員約2000人が原則対象となる。今夏の電力不足でサマータイムを導入し一時的に就業時間を早めた例はあるが、就業規則を改めて恒常的に午前7時から仕事を始める企業は珍しい。店舗で働く社員は対象外とする。

 同社は来春から社内での公用語を英語にする。これに伴い、就業時間外に英語をインターネットで学び、一定の成績を上げれば授業料を全額補助する制度も導入している。柳井正会長兼社長は「語学だけでなく、本や新聞を読んで知識を得ない限り、良いビジネスマンにはなれない」と就業時間を変える理由を説明する。

 ユニクロの店舗数は現在、国内の約840店に対し、海外は約180店。「今後の成長の舞台は日本よりも海外」(柳井会長)として、H&M(スウェーデン)やギャップ(米)など世界のカジュアル衣料ブランドと戦っていく方針を打ち出している。今後はアジアを中心に海外で積極出店を進め、ユニクロ事業の売り上げに占める海外比率を現在の1割強から4~5年後には5割に高める計画だ。

 外国人の新卒採用者も本社の管理職コースへ道を開くなど、人材面から国際競争力を底上げする戦略も取っている。

 就業時間の変更はこうした狙いのほか、電話のやりとりが少ない早朝から働けば「集中して仕事ができる」(柳井会長)との読みもある。同社には労働組合がない。
nikkei.com(2011.08.30 02:26)

朝日新聞 最低賃金引き上げ決まる(2011.09.01 朝刊 14版)

大阪労働局は31日、府内の最低賃金を7円引き上げ、1時間当たり786円にすると発表した。9月30日から適用される。引き上げは8年連続。最低賃金は生活保護費の時給換算額を7円下回っており、その差が解消される。

2011年9月1日木曜日

大阪維新の会「教育基本条例案」の問題点

大阪府議会の過半数を占める「大阪維新の会」(橋下府知事が代表)は、この秋に「教育基本条例案」を府議会に提出しようとしている。

改正「教育基本法」(平成18.12.22)でも、教育に行政は介入してはいけないとなっている。戦後教育の原則(政治が教育に介入してはならない)をご存じでない。いや、知っていながら、思い込みに突き動かされている。確信犯的権力政治を府民に押し付けようとしている。

第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2  国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3  地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4  国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

条例で大阪府の教育を、行政の長たる橋下府知事は支配できることになる。
☆校長の公募
★府立高校の学区撤廃
☆3年連続定員割れの府立高校の統廃合(統合はわかるが、廃合という単語は行政用語で意味不明)
★2年連続最低評価の教員の首切り
☆学力テスト結果の学校別公表(隣の学校を競争相手と見なし、サバイバル・ゲーム(競争)が激化。公表して、誰が利益を得るのでしょう?)→低学力から抜け出せない公立学校を最終的に統廃合の対象にするか。大阪府の教育をサバイバル・ゲームに投げ込む橋下知事は『てっぺん野郎』(佐野真一)第2号に出世するか。もちろん「てっぺん野郎」とは東京都のあの人だ。

「てっぺん野郎」第2号は、やりたい放題。東京都のあの人からお墨付きを貰ったから、怖いものはない。

⌘「教育への政治介入と“処分条例”許さない府民集会⌘
・9月6日(火)午後6時30分開会
・エルおおさか大ホール(地下鉄・京阪 天満橋駅下車西)
・講演:「教育に強制はなじまない」堀尾輝久氏(東京大学名誉教授、元日本教育学会会長)

東大阪市教育委員会教育長への抗議文ー子どもと教科書大阪ネット21

東大阪市教育委員会は7月26日、4:1で育鵬社公民の採択を決めた。歴史は3:2で東京書籍に決まる。

大阪では大阪維新の会(代表ー橋下府知事)の地方議員(大部分は日本会議地方議員連盟所属)や日本会議地方議員連盟所属の自民党などの議員の動きが活発化してきた。

教育長が水面下で採択をリードしていたと言われている。育鵬社版の公民の教科書を使う生徒は1学年約4000人。

子どもと教科書大阪ネット21が東大阪市教育委員会教育長にあてた抗議文は以下の通り。


中学教科書採択について抗議するとともに、撤回を要求します

2012年度から東大阪市内各中学校で使用される社会科公民的分野の教科書について、東大阪市教育委員会が決定した件について強く抗議するとともに、撤回を要求します。
私たちは、多くの父母市民とともに日本国憲法に盛り込まれている「平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」をもとに市民社会と生活を維持し発展させていくために子どもたちにより良い教科書を、より良い教育をと尽力してまいりました。
今回採択を決定した育鵬社の公民教科書は、市民が強く願う平和で民主的な社会を否定し、他国との揉めごとは武力によって解決すると言わんばかりの内容です。また、中国や韓国・北朝鮮といった近隣諸国への蔑視感情や敵対心を植えつけるような記述は、教育基本法にある「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と相容れない内容です。東大阪市には外国人の子どもも多く、地域の公立学校に通学し、日本人生徒とともに学校生活を送っています。
今回採択が決定された育鵬社の教科書は、そうした子どもたちを大いに傷つけ、教室内に偏見に満ちた対立を招きかねない教科書です。
独善的な歴史観に満ちた一国中心主義の考えではなく、さまざまな地域の人々と手をつなぎあって互いに理解しあうなかでこそ平和がつくられていくということを子どもたちに教えなければならないはずです。東大阪市の子どもたちが、未来に希望を持ち、広く近隣諸国の人々と手を携えて、真の平和を実現していけるよう成長していくことができるような、教科書を選ぶことが大人の務めではないでしょうか。
今回の、東大阪市教育委員会がとった処置に強く抗議するとともに、再考されることを強く要望いたします。
以上
子どもと教科書全国ネット21NEWS79号・付録から引用。(2011.08.18)

しんぶん赤旗 1日13時間働き過労死 朝日ソーラー営業マン 妻が提訴 さいたま地裁(2011.09.01B版)



 太陽熱温水器などを販売する朝日ソーラー(本社・大分市)の川越支店(埼玉県川越市)で働いていた金澤吾郎さん=当時(36)=が過労死した事件で31日、吾郎さんの妻が同社を相手取り、慰謝料や逸失利益など総額1億3780万円余の損害賠償を求めて、さいたま地裁に提訴しました。

 吾郎さんは2010年3月3日、虚血性心疾患で亡くなりました。訴状によると、吾郎さんは営業職の先頭にたって成績を上げる「隊長」職の立場でした。勤務はおおむね午前8時に出社し、営業を終えて支店に戻るのは午後10時半すぎ。休憩もほとんどなく、1日の労働時間は平均13時間、月の休日は2~3日程度、月平均労働時間は最低でも351時間に及びました。

 さいたま市内で会見した原告弁護士の話によると、支店長(当時)は「労基法なんて関係ない」と話し、会社は勤務時間を午前9時半~午後8時半(休憩は3時間)とする虚偽の「出勤簿兼業務報告書」を作成していました。

 3人の子を育てる妻のめぐみさん(37)=さいたま市西区=は会見で、遺影を手に「本当に悔しい。もう二度と第二の吾郎をつくってほしくない」と語りました。

 吾郎さんの死後、川越労働基準監督署は同年3月30日付で労災を認定しています。
jcp.or.jp/(2011.09.01)