2012年3月2日金曜日

中学校長が公務災害申請の文書偽造、停職処分(毎日新聞2012.03.02 朝刊14版)

大阪市教委は1日、市立横堤中学校の校長(55)が、同中学校の女性教諭の公務災害申請にかかわる文書を偽造したとして、停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。校長は同日付で降格され、市教育センターに異動した。 市教委によると、女性教諭は09年9月に担任を務めるクラスの男子生徒から腰を蹴られるなどの暴力を受けたとして、公務災害を申請。校長は申請にあたり、生徒の保護者が賠償するとの「確約書」が必要と誤解し、確約書を偽造したという。校長は「保護者と学校の関係が険悪になっていた中、教諭との板挟みになってやってしまった」と話しているという。 校長が誤解したのは市教委の担当職員(既に退職)の誤った指導が原因だった。市は現在は再任用で勤務しているこの職員を減給3カ月の懲戒処分としている。 【私見】 1.市立中学校の状況の一端が見える。対教師暴力が、地域やマスコミに現れるのは少ない。この学校はかつては小規模校であったが、人口流入でクラス数が増えた。1小学校から進学している。この中学校だけの生活指導の問題ではない。この先生のように公務災害申請をしたくても、しないで悩む先生たちがいる。氷山の一角。第三者被害を受けたのに、健康保険を使うケースがあるだろう。法的には不法行為である。後で公務災害に変えられるが、生徒のことを考えて躊躇するケースが多いと想像できる。聖職者意識が邪魔をする。経験則からいえば殴られ損が多い。対教師暴力に「被害届」や「公務災害申請」を提出するのに、同僚や管理職のサポートがなければ一歩が踏み出しにくい。民間企業のように、法的に割り切れないドロドロ状態が、人的サービス労働なのだ。しかも、公務労働者だから、教師の良心が立ちはだかる。 2.校長は「教諭との板挟みになってやってしまった」という。この校長は「労働安全衛生法」を学習していたのか。まるで女性教諭のせいで、偽造文書を作ったとでも言うのか。管理職の職責の重さを知っているだろう。ボヤキたくなるのは理解する。それより市教委のブロック担当指導主事の指示に従ったのが悔やまれるだろう。市教委の指導だからそれに唯々諾々従う姿勢を自省した方がいいだろう。その担当指導主事は再任用(有期雇用の教諭)となり、減給になった。彼も被害者である。その上司の命令で動いたのであろう。その上司の責任はないのか。担当指導主事個人の誤った指示であれば、その個人が責めを負わなければならない。トカゲの尻尾きりの感がする。 3.クラス担任の女性教諭の腰を蹴った男子生徒。10年前なら?女性を男子が暴力を振るったら、「屁タレ」とみんなから笑い者になったであろう。女性を守るのが男の責任だと共有されていたようだ。しっかり反省しないと、この生徒は悪の学習をしてしまったことになる。

1 件のコメント:

  1. この例は多くあります。滋賀県で校長が永く公務災害申請書を金庫にしまったままにしていたなどの問題があります。労働災害隠しは犯罪です、というポスターが労基署に張られています。公務災害隠しは犯罪です、というポスターを学校(労災適用者もいるので労基署からもらったポスターとともに)張り巡らしたいものです。

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