2011年6月18日土曜日

毎日新聞 東日本大震災: 日本国憲法草案参画のベアテさん、米国から被災お見舞いメール/宮城 (2011.6.18)

 ◇GHQで日本国憲法草案に参画 ベアテさんが友人に
 日本国憲法の男女平等条項などの草案を作った米国ニューヨーク(NY)在住のベアテ・シロタ・ゴードンさん(87)が、友人の仙台市泉区の主婦、但木和子さんら3人に東日本大震災を見舞うメッセージを電子メールで寄せた。ベアテさんにとって日本は少女時代を過ごした心の母国。メールでは、困難に立ち向かう日本人の勇気をたたえるとともに原子力に代わる新エネルギーの必要性を訴えた。

 メッセージを受け取ったのは、但木さんのほかに、高校時代の恩師の永澤汪恭(ひろやす)さん(69)=太白区、焼版師の瀬川満夫さん(78)=青葉区。永澤さんと瀬川さんは平和活動に関わり、仙台に講演に来たベアテさんと十数年来の知り合い。但木さんは06年3月、瀬川さん考案の「九条せんべい」をNYのベアテさんに届け親しくなった。

 3人は大震災後、「ベアテさんは日本を心配しているはず。私たち3人の無事を伝えよう」と考えが一致し、但木さんが3月25日に英文メールを送った。すると同27日に返信メールがあった。その後4月18日と5月8日にもメールが届いた。

 メールの内容を総合すると、3人の無事を喜び、「大地震と津波、原発事故に立ち向かう勇気と献身は称賛に値する」「日本人は世界の平和と安全の運動のリーダーになるべきだ」「太陽光発電など(人間や環境に)ダメージを与えないエネルギーを追求しなければならない」と、反核・平和主義の素顔を見せる。

 ベアテさんはユダヤ系でウィーン生まれ。5歳で両親と日本に移り15歳まで過ごした。その後、米国に留学し米国籍を取得。太平洋戦争後の日本に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局の一員として来日し、男女平等について憲法草案の作成に深く関わった。憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づく」はその表れと90年代に判明し反響を呼んだ。日本では映画「ベアテの贈り物」(日本映画新社)が作られ05年に公開された。

 但木さんらは「ベアテさんの日本を思う気持ちを東北の人たちに少しずつ伝えていきたい」と話している。【小原博人】
Mainichi.com. 2011/06/17

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