2012年2月25日土曜日

大阪・浪速中の入試虚偽説明:関大、今年度で浪速中高と連携解消 推薦宣伝に反発(mainichi.com/ 2012.02.24)

大阪市住吉区の私立「浪速高校・関西大学連携浪速中学校」(木村智彦校長)が、実際には取り決めがないにもかかわらず、中学に設置した「関大コース」に入れば関西大学(大阪府吹田市)に推薦入学できると宣伝していた問題で、関大は信頼関係が損なわれたとして今年度末で浪速中・高との連携協定を解消する方針を固めた。少子化を背景に私立学校の高大連携は増えているが、推薦入学を巡って解消するのは異例で、連携の在り方が厳しく問われそうだ。【林田七恵、日野行介】  関係者によると、この問題が毎日新聞の報道で表面化した昨年10月以降、協定を結んだ関大の理事会は、既に在籍中のコース生(約100人)の受け入れを求めたが、承認権限を持つ各学部の教授会が激しく反発していた。最終的に、今年度末で連携協定を解消する一方、高校時点で、併設校(事実上の付属校)の関大一高や関大北陽と同じレベルで、一定の成績を満たしたコース生に限り、1学年30人を上限に受け入れる方向でまとまった。この方針は22日にあった各学部の教授会で報告された。  浪速中では既に新年度の入学手続きが終わっており、12年度に入学するコース生の受け入れについては今後検討される見通し。  一方、教授会の要請で、関大内では調査委員会が設置された。趣旨が不透明な連携協定を結んだ経緯や、理事会側の責任の所在などについて3月末までに報告書をまとめる。  木村校長は昨年10月、浪速中の「関大コース」(中高一貫)に入れば「間違いなく関西大に(推薦)入学できる」と入試説明会で発言し、パンフレットにも同趣旨を記載していた。関大コースは、関大と学校法人間で結んだ連携協定に基づき、10年度から設置された。しかし協定は教職員の人事交流が目的で、中学校名に限って関大連携を付けることは認めたが、推薦入学については「別に協議する」としか書かれておらず、具体的な取り決めはなかった。  関大は広報室を通じて「コメントする段階ではないので差し控えたい」としている。 ==============  ■視点  ◇「ブランド貸し」検証を  関西大学が浪速中・高との連携を解消せざるを得なかった背景には有名私大としての「ブランド」を守りたいという意向がある。しかし少子化時代を迎え、高校・中学の系列化を進める私立大学間の生き残り競争が激化する中、安易に名前を貸した関大側の対応は批判されるべきだろう。  連携協定締結当時(09年6月)の関係者によると、浪速側は関大コース生の推薦入学受け入れを求めたが、学力レベルを不安視した関大側が認めず、「関大」の名前を中学校に付けることだけを認める曖昧な内容になった。その結果、浪速側はブランドを生徒募集に利用、混乱を招いた。  浪速中・高を巡っては、虚偽説明による生徒募集以外にも、▽大学合格者実績の「水増し」▽未払い残業代を9割放棄させた--の問題が明らかになっている。共通するのは、教育と懸け離れた過剰な経営優先の姿勢だ。  私立学校のブランドはあくまでも教育現場としての高い評価だ。双方とも今回の問題を厳しく検証、透明性を高め、再出発につなげることが求められている。【林田七恵】 毎日新聞(2012.02.24 朝刊14版)

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