2011年11月24日木曜日

柔道、安全授業へ真剣勝負 中学、春から武道必修化 教員、実技講習に汗(日経新聞 2011.11.17 夕刊 4版)

来年度から中学校の体育で柔道、剣道、相撲のいずれかを学ぶ「武道」が必修になることを受け、教育委員会や学校が安全対策を急いでいる。3種目とも学校での死亡事故例が報告されており、初めて教える学校からは不安の声も漏れる。各校は教員を集めた実技訓練を行ったり、医師の助言を受けたりと、万全の準備を目指している。

 「首のけがは生命に直結します。気を付けてください」。8月25日、さいたま市が市内の武道場で開いた柔道の実技講習会。市内の中学体育教員約60人の前で、講師が受け身、寝技の方法などを見せながら安全面での注意点を説明した。

 講習会は柔道の安全対策を徹底するため、今年初めて開いた。柔道を教えたことがない教員も多いため、基本的な技のかけ方や練習の方法を教えたほか、打撲部位を冷やすアイシングの仕方など、負傷時の処置も紹介した。参加した教師からは「生徒に手本が見せられそうにない」といった声も上がり、ビデオ教材の利用を勧める場面もあった。

 相模原市は6月、脳神経外科の医師を講師に、各校の体育教員を呼んで安全講習を開いた。柔道の投げ技は頭を床にぶつけなくても、頭が動く勢いだけで脳が傷つく場合があることや、2度連続で頭に衝撃を受けると危険が高まることなどを説明した。

 来年度から柔道の授業を始める同市立藤野中学校の清水孝子教頭(53)は「新たに指導する先生の負担は大きくなる。先生2人で1クラスを教えることも検討したい」と緊張する。

 武道の必修化は、子供の体力向上策の一環として国が2008年に決定。来年度から1、2年生の男女全員を対象に、柔道、剣道、相撲のうち1種目を必ず教える。以前はダンスなどとの選択制で、文部科学省によると、多くの学校が必修化を受けて初めて武道の授業に取り組む。

 専門の指導者を学校に派遣する自治体もある。東京都練馬区は既に男子について全中学校で武道の履修を開始。希望する学校には、全日本柔道連盟と全日本剣道連盟の有段者を2人ずつ派遣し、担当教師との3人態勢で指導に当たっている。

 文科省は「無理な試合をしないなど、十分な注意をすれば武道は飛び抜けて危ないスポーツではない。楽しく触れてほしい」と話している。

NIKKEI.com(2011.11.17 12:22)

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